2020 Fiscal Year Research-status Report
深部花崗岩ミューオン生成核種蓄積を用いた過去1千万年の宇宙線スペクトル変動の探索
Project/Area Number |
19K03882
|
Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
櫻井 敬久 山形大学, 理学部, 客員教授 (60150265)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀内 一穂 弘前大学, 理工学研究科, 助教 (00344614)
湯口 貴史 山形大学, 理学部, 准教授 (00516859)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 宇宙線 / 高エネルギーミューオン / 宇宙線生成核種 / 花崗岩 |
Outline of Annual Research Achievements |
約7千万年前に形成され、隆起・沈降後1千万年前に現在の状態に安定した土岐花崗岩は、1千万年の間、地球に入射してくる銀河宇宙線が大気中で生成した高エネルギーミュー中間子の照射を受けて生成された宇宙線生成核種Be-10、Al-26を蓄積している。その宇宙線生成核種の測定は過去1千万年にわたる宇宙線強度変動を直接的に観測する重要な手段である。今年度は以下の研究を行った。 1)深度約5m、20m、50m,100mの土岐花崗岩試料から抽出した石英中Be-10濃度のAMS測定分析は、完了した。同時に抽出した石英中Al-26のAMS分析試料の作成を終了し、AMS測定分析の実施を待機している。さらに、深度200mのAMS分析試料の作成準備を行った。 2)花崗岩に含まれる微量の自然放射性同位元素であるウラン系列およびトリウム系列の壊変からのアルファ線は、(α、n)反応により中性子源となり、宇宙線ミューオン生成核種のバックグランド源となる。そのため、深度約500mまでの土岐花崗岩コアから8点の深度にたいしてバルク試料(6cm径、2cm厚)を作成して深度別U-238、Th-232の濃度をガンマ線スペクトル測定を行った。 ウラン系列のRa-226は深度9.8m: 71±2.8 Bq/kg、深度152.6m: 127±3.6 Bq/kg、深度561.7m: 63.8±3.0 Bq/kgであり、深度75~300mに深度500mの約2倍の濃度のプラトーがあった。トリウム系列のRa-224も同様に深度75~300mに深度500mの約1.5倍の濃度のプラトーがあった。土岐花崗岩コアのウラン系列およびトリウム系列に深度依存性があることが分かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Be-10については100m深度までのAMS測定分析が終わり200m深度の測定試料作成の準備を行っている。Al-26についてはAMS測定試料が作成済であるが、AMSマシンの不調とcovid-19の影響により測定分析が遅れている。また、covid-19の影響により、予定していた花崗岩コア試料の採取および極微弱放射能測定設備の使用が困難になり計画が遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究計画に予定した未測定試料のAMS測定と深度別土岐花崗岩コアの微弱放射能測定を進める。これらの測定結果の解析とシミュレーション計算結果との比較を行い生成核種の深度別バックグランドの推定を行う。
|
Causes of Carryover |
計画していた測定試料の作成は終了している。covid-19の影響と分析マシンの不調等により測定が遅れている。また、covid-19の影響により花崗岩コア試料の採取と放射能測定設備の使用が困難になり測定計画が遅れている。これらの測定のための旅費および分析費等に次年度使用する計画である。
|