2023 Fiscal Year Annual Research Report
深部花崗岩ミューオン生成核種蓄積を用いた過去1千万年の宇宙線スペクトル変動の探索
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19K03882
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
櫻井 敬久 山形大学, 理学部, 客員教授 (60150265)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀内 一穂 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (00344614)
湯口 貴史 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 教授 (00516859)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 宇宙線 / 高エネルギーミューオン / 宇宙線生成核種 / 花崗岩 |
Outline of Annual Research Achievements |
約7千万年前に形成され、隆起・沈降後1千万年前に現在の状態に安定した土岐花崗岩は、1千万年の間、地球に入射してくる銀河宇宙線が大気中で生成した高エネルギーミューオンの照射を受けて生成された宇宙線生成核種Be-10、Al-26を蓄積している。その宇宙線生成核種の測定は過去1千万年にわたる宇宙線強度変動を直接的に観測する重要な手段である。 CERNにて高純度石英板と土岐花崗岩コアのターゲットセットに160GeVミューオンビーム照射を行い、照射試料を加速器質量分析法により分析してBe-10、Al-26の生成量のデータセットを得た。本研究において照射ミューオン数を確定し、ミューオン当たりのBe-10、Al-26生成率のターゲットセットプロファイルをまとめた。さらに、PHITSおよびFLUKAを用いて、実験セットアップに対して詳細なミューオン照射シミュレーションを行った。 シミュレーションによる生成率プロファイルは実験結果と同様であり、ミューオンによる直接核破砕生成率と花崗岩中でミューオンにより生成された二次粒子による核破砕生成率が実験値として求められることが分かった。しかし、シミュレーション値は実験値の約30%と小さくシミュレーションにおける各粒子の生成断面積について、さらに検討が必要であることが示唆された。実験値から求めた直接核破砕によるBe-10、Al-26の生成断面積は9.2±0.6、132±8 μb、花崗岩に対して二次粒子による核破砕を含めた生成断面積は20.6±1.1、402±32 μbであった。これらの生成断面積と高エネルギー宇宙線ミューオンの地下深度スペクトルから岩石中のBe-10、Al-26濃度の深度スペクトルを計算し、これまで得られた岩石中のBe-10、Al-26濃度との比較を行った。これらの結果をまとめた論文はPhysical Review Dに掲載された。
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[Journal Article] Production rates of long-lived radionuclides 10Be and 26Al under direct muon-induced spallation in granite quartz and its implications for past high-energy cosmic ray fluxes2024
Author(s)
H. Sakurai, Y. Kurebayashi, S. Suzuki , K. Horiuchi , Y. Takahashi, N. Doshita, S. Kikuchi , F. Tokanai, N. Iwata , Y. Tajima, S. Gunji , E. Inui, K. Kondo, T. Oe, N. Sasaki, S. Abe, T. Sato, H. Matsuzaki, V. Vlachoudis
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Journal Title
PHYSICAL REVIEW D
Volume: 109
Pages: -
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] 高エネルギーミューオンによる長半減期宇宙線生成核種Be-10,Al-26の花崗岩石英中の生成率と地下花崗岩における濃度の深度分布2024
Author(s)
櫻井敬久, 紅林泰, 鈴木颯一郎, 堀内一穂, 高橋唯, 堂下典弘, 菊地聡, 門叶冬樹,岩田尚能, 田島靖久, 郡司修一, 乾恵美子, 近藤薫, 大江毅, 佐々木宣欣,安部晋一郎, 佐藤達彦, 松崎浩之, Vlachoudis Vasilis
Organizer
日本物理学会2024春季大会
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