2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K03941
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田中 秀和 東北大学, 理学研究科, 教授 (00282814)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 浩二 千葉工業大学, 惑星探査研究センター, 主席研究員 (10396856)
奥住 聡 東京工業大学, 理学院, 准教授 (60704533)
田中 今日子 東北大学, 理学研究科, 客員研究者 (70377993)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 原始惑星系円盤 / ダスト / 衝突破壊 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度には、ダスト衝突時の跳ね返りと高速衝突での破壊、ダスト構成粒子間の相互作用について以下の研究を行った。 ダストの跳ね返り現象は、従来実験室実験では数多く観測されていたが、数値シミュレーションにおいては極めて密な構造をもつ特殊なダスト集合体のみでしか起きないと報告されていた。今回の再検討では、サイズの大きいダスト集合体を考えた場合より空隙の多い構造でも跳ね返り現象が起こることが示された。従来の数値シミュレーションでは実験室実験のダストより小さいものを用いていたため差異が生じていたことも明かになった。この結果により、原始惑星系円盤で成長が止まっているという観測結果は跳ね返り現象で説明可能となった。 ダスト高速衝突での破壊では、質量比のついた衝突では破壊が起こりにくいことを発見した。従来の小さなダスト集合体を用いた数値計算では非常に破壊しやすいという結果が得られていたが、本研究の結果はそれを覆すものである。100μm以上のダストを想定した場合には、小さなダスト集合体の結果は適用できず本研究の結果に近くなる。大きなダストで破壊が起こりにくいのは、自由度が高く衝突時の衝撃を吸収しやすくなっているためであることも確かめられた。この結果は原始惑星系円盤で小さなダストが破壊で生じにくいことを示唆している。 ダスト構成粒子間の相互作用という基礎部分については、分子動力学計算の手法を用いて調べた。その結果、付着力等の相互作用の大きさは本研究の数値計算で用いている相互作用モデルと調和的であることが確認された。一方、構成粒子の跳ね返り運動の際には追加のエネルギー散逸が起こっていることが示された。この追加のエネルギー散逸は跳ね返り時に発生する応力の大きさに強く依存することも分かった。しかしながら、この追加のエネルギー散逸は、ダスト集合体の衝突現象の結果にはあまり影響を及ぼさないことも確かめられた。
|