2019 Fiscal Year Research-status Report
大気波動を介した下層大気から宇宙への物質輸送の研究
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19K03943
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中川 広務 東北大学, 理学研究科, 助教 (30463772)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 翔平 東北大学, 理学研究科, 客員研究者 (60773629) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 火星 / 水 / ダスト / 領域間結合 / 探査機 / 地上観測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、超高層への水・物質輸送過程を明らかにすべく、特に大気波動を介した領域間結合に着目して、探査機と地上望遠鏡による観測を実施し、以下を達成した。 [1] 下層における水・ダスト層の生成過程の解明:MEX/OMEGAのリム観測データを整理し、水蒸気・ダスト層のダスト嵐時および静穏時における2次元分布解析を進め、ダスト嵐に伴う大気の膨張・ダスト到達高度の上昇・水蒸気の高高度輸送の様子を捉えることに成功した。放射コードを用いて定量的な物理量の導出方法を検討している。 [2] 中層・上層への水・ダストの輸送・発達過程の解明:TGO/NOMADデータ解析により、水蒸気・ダストのダスト嵐時における緯度分布を初めて捉えたことで、背景風速場との関連性を明らかにし、ハドレー循環が水輸送に大きな役割を担っていることを示唆した。MAVEN/IUVSにより得られたデータ解析を進めたことで、背景温度場の特徴的な構造を発見した。加えて、ダスト嵐時の地上観測により探査機では捉えることが不可能な中層の高速東西風を直接計測することにダスト嵐期間中に初めて成功し、上記ハドレー循環の加速を支持する結果を得た。 [3] 大気波動を介した水・ダスト輸送メカニズムの理解の解明:MAVEN/IUVSデータ解析により超高層大気中における大気組成比の変動を示し、それが均一圏界面高度の変化に起因することを明らかにした。加えて、大気重力波の惑星規模の特徴とその季節変化を明らかにし、超高層大気変動に与える大気重力波の影響を考察した。 [4] 宇宙散逸する大気組成への影響の解明:上記[3]とMAVEN/NGIMSによる観測を組み合わせたことで、散逸しうる大気中の組成比が下層大気の影響で60%と大きく変動することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
[1] 下層における水・ダスト層の生成過程の解明:OMEGAリム観測の全データベース構築・ダスト嵐時における詳細ケーススタディは順調に進んでいる。放射コードは準備完了した一方で、計算された予測放射輝度と観測値との間に不一致があることが明らかになり、また、リトリーバル時の数値的な収束安定性に課題があることがわかった。 [2] 中層・上層への水・ダストの輸送・発達過程の解明:水輸送に重要なメカニズムとしてハドレー循環が大きな役割を担っていることを明らかにした成果を出版した。加えて、背景温度場の特徴的な構造を発見し、その成果も出版済みである。同時地上観測結果もAGUで成果報告し、出版に向けて執筆準備中である。 [3] 大気波動を介した水・ダスト輸送メカニズムの解明:超高層大気中における大気組成比の研究成果はAGUで成果報告を行った他、JGRに論文投稿し、現在審議・改訂中である。大気波動に関する成果もJGRに投稿し、現在審議中である。 [4] 宇宙散逸する大気組成への影響の解明:MAVEN/NGIMSによって明らかになった大気組成変動の成果は、[3]の出版後の出版を目指し、現在論文にまとめるべく執筆準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
[1] 下層における水・ダスト層の生成過程の解明:構築されたデータベースをもとに、水蒸気とダストとの二次元高度分布を初めて明らかにする。放射コードにおける放射輝度不一致は、より簡易な視野直下ケースにて観測と比較、位相角関数など要因となりうる物理パラメータの妥当性を検証することで解決を狙う。収束安定性は、収束方法を新たに検討することで(MCMC法に変更)評価を行う。 [2] 中層・上層への水・ダストの輸送・発達過程の解明:現在までで明らかになった水循環の描像に加え、我々の成果が示唆する強烈な昼夜循環の存在という新たな視点を明らかにし、その水・ダスト輸送・発達過程に与える影響を評価する。MAVENとTGOデータを組み合わせることでダストの昼夜分布を明らかにするだけでなく、金星・地球との中層大気比較を行うことでその理解を深める。地上観測成果向上および検証のため、レーザ較正試験をつくば国立環境研究所で実施し、比較のため静穏時における東西風の追加観測を予定する。 [3] 大気波動を介した水・ダスト輸送メカニズムの解明:これまでのMAVEN成果で明らかになった火星夜側の大気波動の特徴に加え、TGOにより朝夕昼側の大気波動の特徴を明らかにすることで、地方時依存性を明らかにする。砂嵐時における大気波動擾乱の拡大を明らかにするとともに、輸送にあたえる影響を評価する。金星における中層大気波動との比較により普遍的な理解を目指す。 [4] 宇宙散逸する大気組成への影響の解明:論文成果の早期投稿・出版を目指すとともに、水素および酸素原子流出への影響をコロナデータと比較して進める。また、より定量的な評価を行うため中層から上層にかけての多分子大気組成の鉛直分布を求め数値モデルと比較することで、それらが示唆する鉛直フラックスと期待される分別係数を求めて散逸する大気組成への影響を評価する。
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[Journal Article] Evaluation of a method to retrieve temperature and wind velocity profiles of the Venusian nightside mesosphere from mid-infrared CO2 absorption line observed by heterodyne spectroscopy2020
Author(s)
Takami, K., H. Nakagawa, H. Sagawa, P. Krause, I. Murata, Y. Kasaba, T. Kuroda, S. Aoki, T. Kouyama, T. Kostiuk, T. A. Livengood, G. Gilli
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Journal Title
Earth, Planets and Space
Volume: -
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] A warm layer in the nightside mesosphere of Mars2020
Author(s)
Nakagawa, H., S. K. Jain, N. M. Schneider, F. Montmessin, R. V. Yelle, F. Jiang, L. Verdier, T. Kuroda, N. Yoshida, H. Fujiwara, T. Imamura, N. Terada, K. Terada, K. Seki, H. Groller, and J. I. Deighan
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Journal Title
Geophys. Res. Let.
Volume: -
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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