2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K03948
|
Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
寺本 万里子 九州工業大学, 大学院工学研究院, 助教 (10614331)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 地磁気脈動 / 衛星多点観測 / 太陽活動 / 放射線 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はあらせ衛星が計測している磁場データを用い、周期150-600秒の地磁気脈動(Pc5脈動)の活動度をモニターする地磁気脈動指数を導出を試みた。時系列データに、20分のwindowで1分毎にFFTによって周期150-600秒のパワーを計算し、パワーの対数を取ることで地磁気脈動指数とした。 過去の研究によると、Pc5脈動は地磁気擾乱と太陽風と相関が見られることから、導出した地磁気脈動指数を地磁気の擾乱度合いを表すDst指数や太陽風データと比較した。地磁気脈動指数はDst指数の変動が大きくなるのに従い大きくなることがわかり、相関があることがわかった。また、太陽風の速度、密度や動圧とも比較したが、過去の研究で推測されるように太陽風速度が早くなると地磁気脈動指数が高くなるという傾向は見られなかった。 この地磁気脈動指数と太陽風速度との非相関は、あらせ衛星の位置が原因であると考えた。そこで、あらせ衛星とRBSP衛星が離れた地方時に位置する場合に観測されたPc5脈動の事例解析を行った。この事例では、太陽風速度は700km/sと速く、RBSP衛星は夕方側に、あらせ衛星は朝側と経度方向に離れた場所に位置していた。夕方側のRBSP衛星では振幅の大きなPc5脈動が観測されたが、朝側のあらせ衛星にはPc5脈動は観測されなかった。この研究により、Pc5脈動は局所性を持つことが明らかになった。以上のPc5脈動の事例解析は、衛星データを使用して地磁気脈動指数を導出する際には、衛星の位置を考慮する必要があることを示唆している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、予定通りあらせ衛星の磁場観測データから、地磁気脈動指数の導出し、地磁気指数、太陽風データと比較することができた。また、RBSP衛星とあらせ衛星を使ったPc5脈動の事例解析研究については本年度に論文を出版することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、RBSP衛星の磁場データを使用して、RBSP衛星の地磁気脈動指数を導出する。本年度の結果によれば、Pc5脈動の発生領域には局所性がみられることから、あらせ衛星とRBSP衛星の2つの衛星から導出した地磁気脈動指数を比較することによって、Pc5脈動の局所性について検証し、必要であれば補正方法について検討する。また、地磁気脈動指数についてさらに深く理解するために、複数衛星を利用したPc5脈動の素過程の研究についても行なっていく。
|
Causes of Carryover |
地磁気脈動指数に関する論文を出版する費用として、論文出版費、英文校閲費として計画していた予算を使用しなかったため、次年度使用額が生じた。本年度の研究を踏まえて、次年度は地磁気脈動指数に関する研究成果発表と、地磁気脈動指数に関わるPc5脈動の素過程研究の成果発表に予算を使用していく。
|
Remarks |
研究成果に関して、所属研究機関でプレスリリースを行なった。
|
Research Products
(4 results)