2020 Fiscal Year Research-status Report
C型小惑星物質試料の分光測定 -地球物質汚染回避環境下での水および有機物の検出-
Project/Area Number |
19K03958
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
安部 正真 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (00270439)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 小惑星 / 反射分光測定 / 帰還試料 / 初期記載 / はやぶさ2 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、研究代表者が行う予定の、はやぶさ2帰還試料の初期記載において、地球物質汚染回避環境下で可視・近赤外域の反射分光測定を行い、C型小惑星リュウグウ表層物質試料からの直接的な有機物、水の検出を目的とする。帰還試料の分光測定用のクリーンチャンバーおよび分光測定装置については、プロジェクト予算で整備されるが、測定感度の校正や測定精度向上については、研究代表者が開発を担当する。予測される帰還試料の反射率は2%程度であり、特徴的な吸収バンド強度も2%程度と低いため、測定精度向上が必要である。そのため、標準反射体の開発と、標準光と測定光の強度を同程度にする工夫などを行う必要がある。具体的には、標準反射体として一般的なスペクトラロンやインフラゴールドの測定の際に、光学系の途中に金属メッシュを入れるなどして、光量を減衰させて測定し、絶対反射率の低いサンプル測定時には金属メッシュなしの状態で測定する。このことにより、検出器に届く光量を同程度にすることができ、高いS/Nでの測定が可能になる。 昨年度までの予備試験の結果、金属メッシュによる減衰には波長依存性があることが明らかになった。また試料容器の素材の影響についても影響の有無を確認することができた。 今年度、リュウグウからの帰還試料の受入が無事完了し、地球物質汚染回避環境下、高純度窒素環境下において、クリーンチャンバー内の帰還試料の反射分光測定を実施することに成功した。帰還試料量が想定量より多かったことから、測定スポット径を想定の2mm程度から面積で10倍程度大きくすることができたため、十分なS/Nで帰還試料の1~4μmの波長範囲での反射分光データを取得することに成功した。帰還試料反射分光データからは、有機物と水の存在を示す特徴が得られており、本研究の当初の目的は達成された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
はやぶさ2による帰還試料の試料量が当初予定していた量の10倍以上であることが確認されたことにより、反射分光測定のスポット径を大きくとることができ、十分なS/Nで帰還試料の反射分光データを得ることが可能になったため。
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Strategy for Future Research Activity |
取得したバルク試料の反射分光データの解析を引き続き実施し、初期成果論文にまとめるとともに、個別試料のうち試料サイズの大きなものについては、個別の反射分光データの取得を目指す。この測定により、帰還試料の不均一性や個々の試料の特徴的な吸収バンドを捉え、帰還試料の構成鉱物についての知見のさらなる獲得を目指す。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、海外学会参加のための旅費が不使用となった。次年度は分光測定装置の改良を進め、さらなるデータ取得を実施するとともに、初期成果論文執筆および研究成果発表のための学会参加を進める。
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Research Products
(15 results)
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[Presentation] HAYABUSA2 REENTRY CAPSULE RETRIEVAL AND SAMPLE CONTAINER OPENING OPERATIONS2021
Author(s)
S. Tachibana, H. Sawada, R. Okazaki, Y. Takano, K. Sakamoto, Y. N. Miura, H. Yano, T. R. Ireland, M. Nishimura, S. Furuya, S. Yamanouchi, T. Maruyama, T. Yada, A. Nakato, K. Yogata, K. Kumagai, K. Hatakeda, A. Miyazaki, M. Abe, T. Usui, M. Fujimoto, S. Nakazawa, and Y. Tsuda
Organizer
LPSC
Int'l Joint Research
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[Presentation] HANDLING AND DESCRIPTION OF C-TYPE ASTEROID RYUGU SAMPLES RETURNED BY HAYABUSA22021
Author(s)
T. Yada, M. Abe, A, Nakato, K. Yogata, A. Miyazaki, K. Kumagai, K. Hatakeda, T. Okada, M. Nishimura, S. Furuya, M. Yoshitake, A. Iwamae, S. Tachibana, T. Sawada, K. Sakamoto, T. Hayashi, D. Yamamoto, R. Fukai, H. Sugahara, H. Yurimoto, T. Usui, S. Watanabe, Y. Tsuda, and Hayabusa2 Project Team
Organizer
LPSC
Int'l Joint Research
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[Presentation] First Report of Samples Returned from the C-Type Asteroid Ryugu by Hayabusa22021
Author(s)
T.Yada, M.Abe, A.Nakato, K.Yogata, A.Miyazaki, T.Okada, K.Kumagai, K.Hatakeda, M.Nishimura,S. Furuya, M.Yoshitake,A. Iwamae, S.Tachibana and T.Usui
Organizer
宇宙科学シンポジウム
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[Presentation] MISSION STATUS OF HAYABUS2 - EXPLORATION OF ASTEROID RYUGU2020
Author(s)
Makoto Yoshikawa, Sei-ichiro Watanabe, Yuichi Tsuda, Seiji Sugita, Noriyuki Namiki, Kohei Kitazato, Satoshi Tanaka, Masahiko Arakawa, Shogo Tachibana, Masateru Ishiguro, Hitoshi Ikeda, Tatsuaki Okada, Kazunori Ogawa, Hirohide Demura, Masanao Abe et al.
Organizer
COSPAR
Int'l Joint Research