2021 Fiscal Year Annual Research Report
火山噴気ジェット音響特性にもとづいた新しい火山ガスSO2放出率推定手法の開発
Project/Area Number |
19K03992
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
横尾 亮彦 京都大学, 理学研究科, 准教授 (70420403)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 噴火 / 空振 / 熱 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、阿蘇山中岳第一火口の噴気活動を対象にして、火口での空振観測と可視・熱赤外線映像観測、および山麓でのSO2放出率測定を繰り返し実施することを予定していた。しかし、研究期間を通して阿蘇山の火山活動度が高い状態にあり、長い間噴火警戒レベルが2以上であったため、火口での観測作業がほとんどできなかった。また、火口に設置していた空振観測点も2021年10月14日、10月20日の水蒸気爆発により破壊された。さらに、新規調達した無人航空機(ドローン)搭載型の熱赤外線撮影装置の不具合が解消しないまま研究期間の終了を迎えてしまった。これらの理由により、研究実施内容の変更がやむをえない状況であった。 本年度はとくに、無人航空機による火口地形変化の把握や火山ガス観測、熱データ解析方法の改善、また、水蒸気爆発発生前に頻発した空振パルスの波形解析をそれぞれ実施し、本研究の目的でもある火山活動モニタリングの高精度化に資する重要な成果を得た。立ち入り禁止区域外からの無人航空機による繰り返し観測によって、10月20日の噴火発生前のおよそ四ヶ月間の火口内部の活動変化が明らかになった。これによって、火口直下の地下熱水系が北西―南東方向に分布しており、この分布に沿って火口内陥没現象や水蒸気爆発等が発生したことがわかった。また、噴火直前の地下熱水水位の上昇や、噴火によって4万m3の欠損体積が生じたことも明らかになった。熱赤外線画像データ解析では、画像撮影位置・姿勢、三次元地形および大気補正を計算にとりいれる手法を提案し、これによって中岳第一火口の正確な地表温度分布図を得ることに成功した。MCMC法による空振波形解析では、水蒸気爆発発生に向けて火口底物質の粘性が漸増していく様子や噴火に関与するガス量を定量することができた。以上の結果はいずれも、将来、火山活動モニタリングを高精度化する際に大きな貢献を果たすと考えられる。
|
Research Products
(9 results)