2020 Fiscal Year Research-status Report
多相固体包有物を用いたプレート収斂域深部流体の組成復元
Project/Area Number |
19K04018
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
清水 以知子 京都大学, 理学研究科, 准教授 (40211966)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
苗村 康輔 岩手大学, 教育学部, 准教授 (50725299)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 超高圧変成岩 / 多相固体包有物 / 超臨界流体 / 炭酸塩マグマ / 塩水 / プレート収斂域 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では超高圧変成岩の鉱物中に含まれる多相固体包有物の分析と高温高圧実験によって、沈み込み帯深部に存在する流体・メルトの組成を復元し、沈み込み帯のマグマ生成などにおける化学的多様性を解明することを目的としている。これまで世界各地から蒐集された試料のうち、チェコ共和国のロンポッドリビネム採石場から産するザクロ石輝石岩について、ザクロ石中の多相固体包有物のの3次元組織を明らかにするために、X線CTスキャナーによって、昨年度より高分解能度で観察するための準備を進めた。高温高圧均質化実験については、本年度は新型コロナウィルスによる活動制限もあり、着手することはできなかったが、実験に用いる高圧変成岩の検討や吟味を行った。また研究分担者が岩手大学に赴任したのを機会に、岩手県内の火山岩捕獲岩に見られるメルト組織の検討を進めた。その結果、高圧実験に用いる試料として、岩手山火山岩に含まれる地殻捕獲岩(トリディマイト岩)と北上山地安山岩中のマントル捕獲岩を候補に選定した。さらに、モンゴルザフハン地域で見いだした高圧変成岩に関する論文を出版した(Naemura et al., 2020, Journal of Mineralogical and Petrological Sciences, vol.115, pp.357-364)。また沈み込み帯のH2O 流体の生成過程に関連する蛇紋岩の脱水変形実験を、圧力 1.7 GPa, 温度 700 ℃までの温度圧力で行ない、反応生成物(フォルステライト+エンスタタイト)を走査型電子顕微鏡やラマン分光顕微鏡で同定した。反応速度が実験中に生成した断層形成によって大きく促進されることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナによる移動制限や実験研究制限のため、予定していた高温高圧融解実験を開始することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の方針として、まず岩手県の岩石を用いた加熱実験を行う実験手法のノウハウを身につけた後、2021年10月以降に本番の多相固体包有物の均質化実験に取り組む段取りを立てた。
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Research Products
(2 results)