2020 Fiscal Year Research-status Report
Data-driven science and solid-earth geochemistry
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19K04027
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
桑谷 立 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海域地震火山部門(火山・地球内部研究センター), 副主任研究員 (60646785)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | スパースモデリング / 機会楽手 / 岩石学 / 地球化学 / 物質移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,データ駆動科学に基づき,全岩化学組成データに潜む潜在的な構造やプロセスを定量的に抽出する系統的な方法論基盤を構築することである.また,開発手法を様々な地球化学データセットに適用することで,地球内部のダイナミクス・物質循環を改めて解明し直す.2020年度の各課題に関する研究進捗および成果を以下に示す. 【課題1】中央海嶺玄武岩からの原岩組成と溶融度の同時推定,に関して,マルコフ連鎖モンテカルロ法に基づく逆推定解析法の有効性について,2019年度に引き続き,人工データ解析テストを通じた手法の有効性検証を継続して実施した.その結果,高精度な推定が可能な解析条件が明らかになり,手法の有効性およびその限界について明らかになってきた.ここまでの成果を取りまとめ,学術論文として発表するために,おおよその原稿執筆を完了した状態である. 【課題2】高次元地球化学データセットからの未知プロセス自動抽出,において,2019年度に開発したスパースアイソコン法(化学組成データから現象前後の物質移動量を定量的に推定する手法)の手法拡張を行い,実データへの適用可能性の拡大を行った. 【課題3】複数・複雑プロセスの定量的抽出,において,複数の物理化学プロセスを被った岩石の化学組成データセットから,プロセスを分離・抽出する手法の開発を続けている.現在までに,解析手法の基盤として,PCAやICAなどの行列分解を用いたプロセス推定方法の枠組みを整備した.特に,今年度は,組成データ解析の概念を導入し,等長対数比変換を行列分解の前処理に組み込むことで,高精度なプロセス抽出が可能であることを人工データ解析によって示すことができた.また,開発した手法について,岩石や表層堆積物試料を用いた実データ解析も予備的に実施している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【課題1】中央海嶺玄武岩からの原岩組成と溶融度の同時推定について,人工データ解析を用いた手法の有効性検証を行った内容に関して,おおよそ論文執筆を完了し投稿直前の段階である.【課題2】多元素地球化学データセットからの未知プロセス自動抽出,に関して,スパースアイソコン法を2019年度に学術論文として公表している.【課題3】複数・複雑プロセスの定量的抽出,においても,既に解析基盤的枠組みに関しては,おおよそ原稿執筆を完了し,投稿を見据えている段階である.以上のように,手法開発および人工データ解析を通じた手法の有効性検証に関しては既に十分な成果が出ていることから,(2)おおむね順調に進展している,と判断した.一方,コロナ禍の影響もあり,研究協力者との打ち合わせ等を頻繁に行うことができなかったこともあり,2020年度は論文公表がスムーズになされていない,また,実データ解析に関しては,当初計画から遅れている要素も存在し,今後の研究推進の加速が必要である.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に引き続き,各課題における未発表の研究について,早期の研究成果公表を目指す.また,プロセスの抽出手法について,これまでは主成分分析や独立成分分析などを基にして開発してきたが,非負値行列分解やスパースコーディングをベースとした辞書学習などの新たな方法論の導入についても検討する.当初計画からの遅れも一部みられる実データ解析に関して,研究推進の加速を実現するために,データ収集および解析が簡単と考えられる少量のデータ群の解析から着手を進めることとする.
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響もあり,旅費の利用がほとんどなかったこと,および,計算機の既存資源の活用を通じた効率化により,計算機消耗品等の購入がなかったことが次年度使用額が生じた理由である.次年度において,成果発表のための旅費として利用を見込んでいる.
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Research Products
(5 results)