2021 Fiscal Year Annual Research Report
Geochemical investigation on stratigraphy of Cretaceous-Paleogene bounday
Project/Area Number |
19K04054
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
黒田 潤一郎 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (10435836)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
Tejada Maria・L・G 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海域地震火山部門(火山・地球内部研究センター), 主任研究員 (40598778)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | オスミウム同位体 / 白亜紀-古第三紀境界 / 白金族元素 / 洪水玄武岩 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,南東インド洋メンテレー海盆の掘削孔U1514Cにおいて,掘削回収された堆積物試料コアに含まれる白亜紀-古第三紀(K-Pg)境界の堆積物の白金族元素とオスミウム同位体比を測定した.海底下390~399 m のインターバルから35試料のデータを取得した.船上での古地磁気層序学的検討から,海底下約390 m深度の堆積物の年代が約65.7 Ma,海底下約398 mの深度の堆積物の年代が約68.2 Maであることが分かっている.K-Pg境界を挟んでおよそ250万年間で,平均して7万年に1点のデータが得られ,これまでにない時間解像度で白金族元素濃度とOs同位体比を得ることができた. 研究対象とした海底下390~399 mのインターバルの中で,深度393.52 mの堆積物で,明瞭なOs同位体比の低下とRu, Os, Ir濃度の鋭いピークが認められた.この深度は,下位の細粒白色石灰岩(チョーク)から上位の緑色粘土岩に移行する層準で,その境界は生物擾乱により漸移的になっている.この層準は,船上の石灰質ナノ化石分析によりK-Pg境界として認められている.この生層序学的K-Pg境界でRu, Os, Ir濃度の鋭いピークが認められ,Os同位体比の負のスパイクが認められたことは,K-Pg境界層でチクシュルブ天体衝突イベントの層準が保存されていることを明確に示す.多くのK-Pg境界では,短期的なハイエイタスなどで天体衝突イベント層準が保存されず欠如している.メンテレー海盆では,そのような欠如のない完全連続なK-Pg境界が得られたことは本研究の大きな成果である.海底下の掘削コア試料では,このようなK-Pg境界の完全連続記録が得られているのは南極海Maud Rise, 南大西洋Walvis Ridge の2サイトだけで,今回,世界で3例目となる完全連続セクションが得られたことが明確になった.
|
Research Products
(10 results)