2020 Fiscal Year Research-status Report
Analysis on a unique spectrum in complex space caused by a film-type proximity sensor and its application to pulse-wave measurement
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19K04419
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
野村 健一 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (00580078)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 近接センサ / インピーダンス / フィルム / 印刷 / 粘接着 / 実装 |
Outline of Annual Research Achievements |
フィルム状の静電容量型非接触人感センサにおいて、これまでの人感センサ構造(C)にチップインダクタ(L)を付したLC共振回路構造を用い、その際に現れるインピーダンスの特異複素空間形状を利用して、脈波の検出ができるほどに高感度化させる技術の開発を進めている。また、センサ設置箇所の自由度を高めるために、センサの軽量性、フレキシブル性、低背化などが確保できる実装技術として、共振構造に必要となる各種の部品や配線を粘着体の上に配する貼付型実装技術によるセンサシート化に取り組んでいる。2019年度に、センサ構造をセンシティブなLC共振構造にしたがために、本来感度を有するべきではない引出配線部自体が高感度なセンサになってしまい、すぐには厳密な電気的解析・評価をするのが難しいと分かったことから、2020年度は、まずはセンサシート化技術の開発の方に力点を置いた。また、上記の通り厳密な評価は難しいものの、脈波検出に向けて人感センサのS/N向上に資する結果が得られるか、作成したセンサシートにてフィージビリティスタディー(FS)を行った。 センサシート化については、伸縮性および伸縮性ではない一般的な導電ペーストを電極・配線としてチップインダクタを実装し凸方向に曲げたところ、後者の場合は接着剤で補強しても曲率半径約4cmの曲げに耐えられなかった一方で、前者は補強無しで約4cmまで曲げても接続を保っていた。まだその機構の解明には至っていないが、いずれにせよ安定的なチップ実装条件は確立できた。FSに関しては、粘着シート上にチップインダクタ(L)と人感センサ部(C)を並列に配した構造を実装・作製し、共振状態の発現を確認した。また、センサへの導体の接近によって、人感センサ部単体の場合よりも回路のインピーダンスが大きく変化することを確認し、次年度以降の脈波検出の実証に向けて良好な結果を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
センサシート化のための実装技術については概ね順調に進展したが、特異な複素空間形状の解明についてはやや遅れている状況である。2020年度は、その進展を阻む要因となっている引出配線の有感度化現象について効率的に課題を解決できないか、具体的には当該配線が感度を持たないような構造上の工夫ができないかシミュレーション等を用いて検討をしたが、どう工夫しても多かれ少なかれその部分が感度を持ってしまい、やはり小手先の方法で短時間では改善できない(シールド線を配したり、引出配線を極めて短くするなど抜本的な改善が必要)と改めて認識した。また、2020年度はコロナ禍の影響もあり、その辺の改善実験含め想定したスケジュールで進展させることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
センサシート化技術(実装技術)にはある程度の目途が立ったため、主題である特異な複素空間形状の解明に向けた電気的評価に移行していく。具体的には、シールド化等のノイズ対策構造を入れ込んだ評価用センサシートを作成し、当該シートを用いてインダクタンスと静電容量を厳密に制御した上で評価を行っていく。また、このままでは応用としての脈波計測まで到達できない可能性があるため、テクニカルスタッフを雇用するなどして研究開発を加速させていく。
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Causes of Carryover |
コロナ禍による出張制限等で旅費を使用する機会がなく、消耗品を計上していた物品費についても、メーカーからのサンプル提供品で賄える部分が大きかっため。また、2020年度は、コロナ禍の中で研究・実験が思うように実施できなかったこともある。2021年度は、遅延気味の本研究開発を加速させるため、テクニカルスタッフの雇用を検討している。
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