2023 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a Simulation Method for Estimating Health Impact due to Change in Residential Environment
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19K04740
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
川久保 俊 法政大学, デザイン工学部, 教授 (50599389)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 住環境 / 健康影響 / 経済的便益 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、住環境の改善が居住者にもたらす健康維持増進効果を推計し、その影響の大きさを経済価値換算(経済便益推計)する「健康影響シミュレーションモデル」の開発を行った。 具体的には、全国の住宅の温熱環境、音環境、光環境、衛生環境、安全環境、安心環境の包括的な評価を行い、居住者の疾病(糖尿病、結膜炎、高血圧、心疾患、脳疾患、鼻炎、肺炎、喘息、皮膚炎、関節炎)の有病割合との関係を分析し、両者の関係をモデル化した。さらに、疾病有病に伴う通院費用の発生や欠勤に伴う給与損失額を性別、年齢帯毎に推計できるようにモデルの拡張を行った上でマクロシミュレーションを実施し、住環境の改善に伴う経済便益を推計した。 その結果、以下に示す結果が得られた。まず、日本全国の住宅には依然として住環境を改善する余地が大きいことを明らかにした。また、住環境の改善によって日本全体で年間7,000~8,000億円程度の経済便益(正確には、現在の好ましくない住環境下で発生している経済損失の抑制)を見込めることを明らかにした。 また、マクロシミュレーションモデルの実用性を高めて今後政策立案等の現場で生かすことができるよう、肥大化したモデルを圧縮し、投入するパラメータ数を当初の50程度から10程度に抑える方法論を開発した。その結果、シミュレーションの推計精度を落とすことなく、データの収集、入力、集計、推計に伴う負荷を削減できることを実証した。
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