2020 Fiscal Year Research-status Report
Architectural planning of elderly facilities that facilitate workers knowledge-building and the relationship between their working environment and QOL
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19K04799
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Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
古賀 紀江 関東学院大学, 建築・環境学部, 教授 (10295454)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 由起子 日本社会事業大学, 福祉マネジメント研究科, 教授 (40370952)
福田 菜々 北海道科学大学, 工学部, 准教授 (70554731)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 仕事環境の質 / 高齢者施設 / 介護職 / 知識創造 / 場所愛着 / 主観的健康観 / 労働環境 / アンケート調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、高齢者施設を「働く場」として捉えなおし、職員の心身への負荷を緩和し職場のQOLを高めるための知見を得ることを目的とする。研究は環境を安全で安心な労働環境と介護という実践の知識創造を促進する労働環境の二面から捉え行う。既に実施済みの安全で安心な環境と働く人のQOLの関係についての調査に加えて実践的な知識創造に関わる具体的な環境を捉える調査を実施して考察を加え、総合的な考察を展開することが2020年度の主たる計画であった。しかしながら、2020年度はcovid-19パンデミックにより、予定した高齢者施設での全ての調査を中止した。 2020年の実質的な活動は次の2点である。 (1)国際会議(IAPS(International Association People - Environment Studies)2020)での研究発表と意見交換及び情報収集を行った。発表内容の概要:2つの法人の職員276名に実施したアンケート調査(2018)の結果を労働環境とQOLの関係に関して法人間における傾向の異同に着目した分析を行った。介護職と非介護職で、就労状況カテゴリーでの群間比較でQOL評価項目に有意差が認められたのは介護職のみであること、また、介護職には就労条件は主観的健康観に影響し、労働以外で個人的に利用する場所に関する評価は場所愛着に影響する傾向が認められるなど、職種における相違が認められた。一方、これらの傾向が、諸条件が異なる2つの施設でも認められることを確認した。さらに検討の必要はあるが、働く環境の質を考察する本課題遂行上重要な結果と考える。 (2)アンケート調査票の再検討の実施:covid-19の感染拡大が続く中での調査であることを鑑み、施設訪問の機会が得られない場合にも各施設における知的創造の場をできる限り具体的に捉えることができるよう工夫を施した様式に改変した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度は、前年度末(2020年1月)より施設職員へのインタビュー調査、行動観察調査、およびアンケート調査を実施する予定で準備を行っていた。具体的状況を次に示す。①2019年度内にアンケート調査の実施計画(高齢者施設で働く人の「場」の実態と職場環境のQOL調査)と、施設を訪問しての調査(知識創造の場としての高齢者施設の職場環境の実態調査)について、研究代表者の所属機関において、研究倫理委員会の承認を受けた。②2019年度中の2020年1月から調査を実施するため協力施設と調整に入り、1月には調査依頼先施設にて事前インタビューを実施した。③同時に、協力施設より、本調査の許可承諾を得て準備態勢に入った。 計画では、研究代表者らの勤務先の春休み期間にインタビュー調査の開始、2020年度中に順次、その他依頼先の調査を実施予定であった。しかしながら、2020年1月に、インタビュー調査の予備段階を実施した後、covid-19の問題が起こり、状況が悪化したまま現在に至る。本研究では高齢者施設をフィールドとするため、感染抑止のため外部からの出入りをシャットアウトする状況において調査依頼は不可能な事態となった。 この間、研究倫理申請をした内容について、研究期間修正、アンケート質問方法の改変に伴う修正申請を行い、状況に合わせた調査を行うべく努力した。しかし、依頼先施設とは随時連絡を取ってきているが、現状では困難が多い。
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Strategy for Future Research Activity |
covid-19パンデミック状況下で高齢者施設での調査実施が難しい状況は今しばらく続くと考え、2020年度末より下記方針を打ち立て、遂行中である。 ①高齢者施設で働く人の「場」の実態と職場環境のQOL調査 (a)当初計画していた対象施設へ個別に依頼して実施するアンケート調査に加えて、調査会社に依頼して回答者を募る方法によるウエブ調査を同一内容の質問項目で実施する。調査は、回答者の性質をそろえるために1都4県を対象として行う。新たな研究実施計画を作成し所属機関における研究倫理審査を受け承認を得た。 (b)元来予定していた対象施設に個別に行うアンケート調査は、施設からの了解が得られた場合に実施する。ただし、オンラインでも実施可能な形で準備を行う。予備調査等で得られた施設内の状況とアンケート調査の結果を合わせて分析を行う。 ②知識創造の場としての高齢者施設の職場環境の実態調査 ヒアリング調査が難しい場合、質問紙を送る方式など別手段で実施する。①(b)及び②については代表者所属機関で6月に実施される研究倫理委員会に申請予定である。 ③高齢者施設で働く人への環境行動支援ツールのデザイン ②において実施する質問紙を使ったやりとりをベースに本研究のまとめとして示すことを考えている。
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Causes of Carryover |
1.次年度使用額が生じた理由 2020年度、covid-19パンデミックの影響で予定していた下記計画の遂行が変更、あるいは中止を余儀なくされたためである。 ①国際会議(IAPS2020)がオンライン開催となった:渡航にかかる費用が不使用となった。②研究遂行のために計画したアンケート調査、ヒアリング調査、行動観察調査の中止:調査にかかる諸費用が不使用となった。 2.使用計画 主として調査方法の変更に伴う費用の発生に対応する。covid-19の感染拡大の影響がしばらく続くことが予測される中、調査方法を調査会社に調査対象者の確保まで依頼するウエブ調査を取り入れるよう、計画を変更した。このための経費として使用する。
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Research Products
(2 results)