2021 Fiscal Year Annual Research Report
超音波流速計(ADCP)を用いた卵稚仔魚の水産資源量の計測
Project/Area Number |
19K04861
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
新井 励 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60508381)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚原 洋平 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産資源研究所(清水), 研究員 (90781865)
久門 一紀 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産技術研究所(長崎), グループ長 (70576800)
山下 貴示 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産技術研究所(長崎), 主任研究員 (00443375)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 水中音響 / ADCP / 多変量解析 / 散乱強度 |
Outline of Annual Research Achievements |
海域中の浮遊懸濁物質には浮遊砂泥,動物プランクトンや植物プランクトンなどが含まれるが,実海域において,それら浮遊懸濁物質の濃度分布の時間変化をモニタリングし,把握することは,海域中における生態系の変化をより詳細に理解する上で非常に重要である。 従来,浮遊懸濁物質の濃度分布の計測は,採水調査および光学式濁度計等が用いられてきたが,それらの計測手法では時間的,空間的に密なデータを取得することが困難である。そこで,海中のモニタリングには,より時間的,空間的に高解像度な計測手法が望まれる。 超音波式3次元流向流速計(Acoustic Doppler Current Profiler,以降ADCPと呼ぶ)は4つのトランスデューサーから超音波を発射し,計測層において浮遊する音響散乱体からの反射波の位相のずれ,いわゆるドップラーシフトを計測することで3次元の流向流速を計測する計測器である。一方,ADCPは反射波のドップラーシフトを計測するとともに副次的に反射波の強度である散乱強度も計測している。 ADCPにより計測された散乱強度には複数種類の懸濁物質からの応答が重畳されており,それらを個々の応答に分離するために統計解析手法の一つであるICAを用いることが有効であることが分わかった。まず,ADCPの浮遊懸濁物質に対する応答特性はgammapdfに従うことが水槽実験からわかった。さらに,ICAにおけるスコア関数にgammapdfを用いることで重畳された応答が独立な信号に分離できた。最後に,本手法は海水中の濁度の経時変化を捉えることや,動物プランクトンの分布を定量可能であることを示すことで実海域における浮遊懸濁物質の性状・挙動を把握する上で極めて有効な手法であることを示した。
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