2021 Fiscal Year Research-status Report
社会システムを対象とする公共政策分析のための存続可能性関数の応用可能性の検証
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19K04901
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Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
大山 達雄 政策研究大学院大学, 政策研究科, 名誉教授 (30134323)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
諸星 穂積 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (10272387)
小林 和博 青山学院大学, 理工学部, 准教授 (00450677)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 社会システム / 公共政策分析 / 計量的政策分析 / 都市防災減災 / 業務実績指標 / 頑健性評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、都市、交通、防災、教育、科学技術といった各種社会システムに関する公共政策の策定、実施、評価に際して、各種現実データに基づいた計量的かつ実証的な分析をおこなった。なお、分析に当たっては、申請者らが数年前に社会システム分析手法として提起、いくつかの応用例を研究成果として国内外の学会、学術誌に発表してきた存続可能性関数を中心に、さらなる応用可能性について詳細な実証分析に基づく検証を試みた。主要な研究課題としては、以下の7課題を設定した。 1). 重大自然災害時におけるわが国の社会システムを構成する主要な社会インフラ施設の復旧過程を実際のデータを用いて計量的に分析する。2). わが国の水道事業の現状を事業経営、施設設備、事業運用といった各種側面から外観、精査し、現状における課題、問題点を抽出し、より望ましい水道事業の在り方を探る。3). わが国の水道事業の業務実績指標(Performance Indicator, PI)の概念設計、構築をみる。さらにはそれらの検証に基づく水道事業のレジリエンス評価の手法の開発と検証を行う。4). 道路、電力送電・配電網、ガスパイプラインといったネットワーク型社会システムの定量的な頑健性評価を行うことによって、システムの頑健性の向上、安全性の強化の方法を探る。5). 都市システムの定量的な安全性解析を行うことによって、重大自然災害時における都市防災減災問題の解決をはかる。6). わが国の衆議院、参議院における選挙制度に基づく各種問題点を得票率、議席獲得率に関する選挙結果の計量分析によって明らかにする。7).わが国の高等教育評価、研究成果の評価、研究助成制度と科学技術イノベーションといった公的な高等教育助成、研究助成に関する公共政策分析を行う。 本年度は上記課題全般に対する研究成果を国内外の学会で発表し、各種学術誌の論文として刊行された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
上記研究課題のそれぞれに対して、以下のような研究を実施し、研究発表、論文刊行、著書刊行を行った。詳細については、下記研究発表に示すとおりである。1), 2), 3), 4), 7)については国際学術誌に論文を刊行した。7)については、国内学術誌に連載記事としてわが国明治期の高等教育の概要を紹介した。4), 5)については英文著書の一部として成果を発表し、また6)については、これまでの刊行論文をまとめた著書を編集刊行した。さらにまた、研究課題2), 3)については国際学会IFORS、そして7)については国内学会日本オペレーションズ・リサーチ学会において研究成果の発表を行った。 本年度の研究成果はすべてこれまでの令和1,2年度における本研究の成果をもとに、これらをさらに整理、拡張、発展させた形で得られたものである。本研究が英国の科学技術専門誌に紹介されたことも当該分野におけるわが国からの研究成果の情報発信という観点から大きかったといえる。 特に本年度の研究成果としての上記課題1), 2), 3), 4), 7)については国際学術誌American Journal of Operations Research, Asian Journal of Management Science and Applications等に論文を刊行し、また英文著書Strategic Management, Decision Theory, and Decision Science(Springer)に著者らによる全般的な計量的公共政策分析の研究成果を紹介できたこと、そしてまた研究成果を邦文著書『選挙・投票・公共選択の数理』, シリーズ応用数理第7巻, 共立出版にまとめることができたことは当該分野の研究成果を公表するうえでも有効、有意義であったと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は対象とする研究課題も社会システムにおける各種の問題解決を図るという点では非常に広範囲にわたっている。このような状況の中でわれわれはできるだけ広範に自らの研究成果を国際的に公表、発信すべく努め、多くの国際学術誌に発表した。このような過程の中から新たな多くの問題を発見し、さらにまた解決の必要性を認識することになった。上記課題における2), 3), 6), 7)あたりが主要な対象であると考えている。従って本研究の更なる発展形としては、本研究の主要課題である存続可能性関数の更なる応用可能範囲を探り、それを用いた計量的公共政策分析につなげることを考えている。現在のところ手掛けているのは、存続可能性関数の応用可能性の理論的検証、わが国高等教育の研究業績評価という2課題である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で、予定していた国内外出張が不可能になり未使用額が生じてしまった。 状況を見て再度の出張を計画している。
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