2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of accuracy of pedestrian model based on microscopic and macroscopic measurement data
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19K04936
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
川口 寿裕 関西大学, 社会安全学部, 教授 (80234045)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 群集事故 / 数値シミュレーション / 歩行者モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
大阪メトロ御堂筋線なんば駅から南海電鉄なんば駅に向かう途中の上りエスカレーターにおいて、歩行者の挙動観察を行った。当該上りエスカレーターは2基が隣接して設置されている。約5,000人の歩行者に対して、2基のうち左右どちらのエスカレーターを利用するかについて観察した。なお、極端に左側または右側からエスカレーターに近づいてきた場合や、直前の歩行者との距離が近すぎる場合はエスカレーターの左右選択に影響があると考え、観察対象外とした。その結果、61%の歩行者が左側を選択し、39%が右側を選択した。このうち、女性については左右選択に有意差は見られなかったが、男性が左側のエスカレーターを選択的に利用する傾向が見られた。 次に実験室内にT字路を用意し、突き当たった後で左右どちらに曲がるかについて調べた。その結果、56%が左側、44%が右側に曲がった。t検定を行った結果、この差は統計的に有意なものではないことがわかった。ただし、男性のうち65%が左側、35%が右側を選択した。女性は42%が左側、58%が右側を選択した。この実験においても、女性の左右選択には有意差は見られなかったが、男性は有意に左側を選択する傾向が見られた。 数値シミュレーションにおいては、エスカレーターにおける片側歩行ルールを検討するモデルを作成した。本モデルを用いて歩行率(全歩行者のうちエルカレーターを歩いて上る人の割合)を変化させた計算を実施した。その結果、歩行率が50%以内であれば、エスカレーター上の歩行を禁止し、両側で立ち止まって利用する方が全体的な流量を大きくできることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルスの影響で普段よりも市街地の歩行者がやや少ない。なんば駅での観察においては、他の歩行者の影響を受けにくくなるため、歩行者が少ないことは良い方向に作用した。一方、大学では履修者数の多い講義は遠隔で行われていたため、キャンパス内にいる学生が少なく、被験者を集めるのが難しかった。本年度の実験では、被験者数としては十分とは言えないものの、実験そのものは実施することができた。 数値シミュレーションについては新型コロナウイルスとは無関係であり、おおむね順調に進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
実験・観察についてはさらにデータ数を増やしたいが、新型コロナウイルスの新規感染者数が非常に増えており、そもそも実験や観察を実施できない可能性もあると危惧している。実施可能な期間中に集中的に実験・観察を実施したいと考えている。 数値シミュレーションについては新型コロナウイルスとは関係なく進めることができる。新型コロナウイルスの問題に関連して、歩行者の集中を避けるための人流コントロール等に関して、有益な提言を行うための数値シミュレーションも実施したい。
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