2019 Fiscal Year Research-status Report
Single-cell metabolomic and proteomic analyses in cancer cells by a novel mass spectrometry-based analytical system
Project/Area Number |
19K05167
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
和泉 自泰 九州大学, 生体防御医学研究所, 准教授 (70622166)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 1細胞メタボローム解析 / 1細胞プロテオーム解析 / シングルセル / がん細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
一般的な動物1細胞からのメタボロームおよびプロテオーム解析を可能にするために,(1) 顕微鏡下で標的とする細胞を迅速に単離する技術,(2) サンプルロスを低減させるための微小空間内での前処理技術,(3) ナノフロー液体クロマトグラフィータンデム質量分析 (Nano-LC/MS/MS) による高感度分析,(4) 微量試料を分析系に導入する技術の開発を行ってきた.今年度は,開発した1細胞メタボローム分析法を用いて,HeLa細胞の不均一性を評価した.22個の単一HeLa細胞のメタボローム分析を実施したところ,18種の親水性代謝物の検出に成功した.さらに,得られた代謝物ピークエリアを用いて階層的クラスター分析を行った結果,細胞の間に,代謝レベルで一定の類似度を示すサブクラスが複数存在することを示した (Mass Spectrom., 9(1): A0080-A0080, 2020). さらに,1細胞ショットガンプロテオーム分析を行うために,プロテオミクス分野と連携して試料調製中の損失が低く,消化効率の高い前処理法 (in-line sample preparation for efficient cellular proteomics, ISPEC) を開発した.開発したISPEC法は,より少数の細胞 (100, 10, 1細胞) の適応が可能であり,単一HeLaから60個のタンパク質の同定に成功した(Anal. Chem., 92(4): 2997-3005, 2020). また,超高感度分析が期待できる多孔質シリカ層を有する内径50μm以下のモノリスシリカキャピラリーカラムの調製法を構築し,その性能評価を行った(J. Chromatogr. A, 1616: 460804, 2020).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度は,HeLa細胞を用いて1細胞メタボローム解析および1細胞プロテオーム解析を実施し,実際に一般的な動物1細胞から代謝物およびタンパク質が検出できることを示した.さらに,HeLa細胞集団から取り出した22個の単一HeLaを分析して得られた代謝物ピークエリアを用いて階層的クラスター分析 (HCA: hierarchical cluster analysis) を行った結果,細胞の間に,代謝レベルで一定の類似度を示すサブクラスが存在することを示した.今回の培養細胞を用いた1細胞メタボローム結果により観測されたサブクラスは,例えば細胞周期の違いあるいはその他の代謝機能の違いを捉えている可能性が示唆された.これらの成果は,Mass Spectrom., 9(1): A0080-A0080, 2020およびAnal. Chem., 92(4): 2997-3005, 2020に受理され,高い評価を得た.また,受理された学術論文の内容の一部は,日本語総説にまとめて報告した.以上のことから,今年度は,当初の計画以上に研究が進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,モノリスシリカキャピラリーカラムなどを活用した分析系のさらなる高感度化と微量サンプル調製法の高速化・自動化技術を開発する.さらに,全ての要素技術を組み合わせることで1細胞レベルでの代謝機能を網羅的かつ定量的に数値化するための基盤技術を構築し,がん細胞の細胞周期と代謝の差異を明らかにする.
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Causes of Carryover |
今年度,予想以上に研究が進捗したため,今年度の途中の段階で,来年度に13C標識化合物を使用した予備検討を開始する計画を立てた.一方で,これらの安定同位体化合物の見積もりを取得したところ,当初の予定金額よりも35万円ほど高価であった.そのため,来年度に購入する安定同位体標識化合物の費用に充てるために,今年度の予算の繰り越しが発生した.
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[Journal Article] Metabolic effects of RUBCN/Rubicon deficiency in kidney proximal tubular epithelial cells.2020
Author(s)
Matsuda J, Takahashi A, Takabatake Y*, Sakai S, Minami S, Yamamoto T, Fujimura R, Namba-Hamano T, Yonishi H, Nakamura J, Kimura T, Kaimori J, Matsui I, Takahashi M, Nakao M, Izumi Y, Bamba T, Matsusaka T, Niimura F, Yanagita M, Yoshimori T, Isaka Y.
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Journal Title
Autophagy
Volume: 16
Pages: 1-16
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] A shift in glutamine nitrogen metabolism contributes to malignant progression of cancer.2020
Author(s)
Kodama M, Oshikawa K, Shimizu H, Yoshioka S, Takahashi M, Izumi Y, Bamba T, Tateishi C, Tomonaga T, Matsumoto M*, Nakayama KI*.
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Journal Title
Nat. Commun.
Volume: 11
Pages: 1320
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Inter-laboratory comparison of metabolite measurements for metabolomics data integration.2019
Author(s)
Izumi Y, Matsuda F*, Hirayama A, Ikeda K, Kita Y, Horie K, Saigusa D, Saito K, Sawada Y, Nakanishi H, Okahashi N, Takahashi M, Nakao M, Hata K, Hoshi Y, Morihara M, Tanabe K, Bamba T*, Oda Y.
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Journal Title
Metabolites
Volume: 9(11)
Pages: 257
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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