2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K05236
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
佐々木 直樹 東洋大学, 理工学部, 准教授 (30462691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸村 顕広 九州大学, 工学研究院, 准教授 (70422326)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ナノ薬剤 / 腫瘍 / マイクロ流体デバイス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ヒトの腫瘍組織の構造や特性を反映したマイクロ腫瘍組織モデルを構築し、ナノ薬剤評価に応用することを目的としている。本年度はまず、マイクロ流体デバイスのデザインを検討した。腫瘍血管に相当する要素として、血管内皮細胞をデバイス内で培養して用いることとし、その足場となる多孔膜を組み込んだデバイスを作製した。膜上の血管内皮細胞を顕微観察するために、デバイスの光透過性を高める手法を開発し、実際に細胞観察に応用できることを示した。腫瘍血管の周囲に存在する間質に相当する要素として、フィブリノーゲンとトロンビンの反応によって形成されるフィブリンゲルを用いることとした。ナノ薬剤の血管から腫瘍細胞への輸送に寄与する間質流を再現できるように、2枚の多孔膜を並行に組み込み、その間にフィブリンゲルを形成してデバイスを作製した。このデバイスをナノ薬剤評価に応用することを目指し、まずは多孔膜を腫瘍血管壁に見立て、蛍光標識ポリスチレンナノ粒子を用いて原理検証実験を行った。血管に見立てたマイクロ流路に粒子懸濁液を送液し、粒子が多孔膜を超えてフィブリンゲル中へ移動する過程を経時的に顕微蛍光観察した。ナノ粒子の数密度を変えて実験を行い、定法により求めた透過係数の値を比較したところ、一定密度以上で透過係数が有意に減少した。よって、本法によりナノ薬剤の腫瘍組織内での輸送特性を評価する際には、粒子密度に注意する必要があることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
デバイスの作製や、ナノ粒子評価の原理実証ができており、おおむね予定通りの進捗であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に従い、着実に研究を遂行する。
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Causes of Carryover |
おおよそ計画通りに研究を進めた結果、わずかに残額が生じたため、次年度に試薬等の購入に使用する。
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Research Products
(3 results)