2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K05236
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
佐々木 直樹 立教大学, 理学部, 准教授 (30462691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸村 顕広 九州大学, 工学研究院, 准教授 (70422326)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ナノ薬剤 / 腫瘍 / マイクロ流体デバイス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ヒトの腫瘍組織の構造や特性を反映したマイクロ腫瘍組織モデルを構築し、ナノ薬剤評価に応用することを目的としている。本年度はまず、腫瘍組織に存在する腫瘍随伴マクロファージの存在を考慮した評価系を構築するために、ヒト単球由来細胞株U937から分化誘導したM2型マクロファージの評価に取り組んだ。蛍光免疫染色とフローサイトメトリーにより細胞膜上のタンパク質発現を調べたところ、分化誘導後に特定のタンパク質が発現していることを示唆する結果が得られ、細胞形態と接着性のみで判断していた前年度までと比べ、より正確な評価ができるようになった。次に、M2型マクロファージのマイクロ流体デバイス上での培養に取り組んだ。前年度までの検討結果を踏まえ、M2型マクロファージをコラーゲンと共にマイクロ流路に導入してゲル化させ、静置培養した。この際、M2型マクロファージを生細胞染色用の蛍光試薬であらかじめ標識しておき、この標識に由来する蛍光を基に一定時間後の生存率を評価したところ、腫瘍細胞を用いた同様の実験と比べて生存率が大きく低下していた。加えて、コラーゲンを用いずにフラスコでM2型マクロファージを培養した実験と比べても生存率が大きく低下していた。これらの結果から、M2型マクロファージは腫瘍細胞と比べて培養環境の影響を大きく受けること、およびこのような生存率への影響を考慮した上でナノ薬剤評価に応用する必要性があることが明らかとなった。 補助事業期間全体を通じ、本研究では、冒頭に述べた目的を達成するための実験条件を明らかにすることができた。具体的には、デバイス構造、間質モデル物質、ナノ粒子濃度、培養条件などである。これらの成果は、ナノ薬剤の前臨床試験にマイクロ腫瘍組織モデルを応用する上で極めて重要かつ意義深いものである。
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