2020 Fiscal Year Research-status Report
Generation of attosecond electron beam pulse using laser modulator
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19K05331
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
菅 晃一 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (60553302)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | レーザー変調 / 電子ビーム / 電子加速器 / アンジュレータ / 電気光学結晶 |
Outline of Annual Research Achievements |
原子炉水化学、重粒子線治療、ナノテクノロジー等の量子ビーム応用分野では、量子ビームによるイオン化直後の現象の解明の重要性が指摘されている。そこで、本研究では、量子ビーム誘起による超高速反応の測定を実現するために、レーザー変調電子ビーム圧縮方式を開発し、アト秒の時間分布を有する電子ビームの発生を目指す。レーザー変調電子ビーム圧縮方式では、アンジュレータ周期磁場および短波長・高電界であるレーザー電場により、入射電子ビームのエネルギーを変調することで、アト秒電子ビームの密度変調へ変換する。令和2年度(2020年度)は、電子ビーム評価のための電気光学(EO)結晶のポッケルス効果測定系の構築を行った。 レーザー変調を効率よく行うためには、電子ビームとレーザー変調で用いるフェムト秒レーザーの同期時刻を少なくとも10 psの精度で測定する必要がある。そのため、EO結晶による同期の測定を行っており、結晶配置や使用レーザーの偏光を最適化する必要がある。電子ビームを用いない測定系の試験を可能にするため、EO結晶のポッケルス効果測定系を構築した。フェムト秒レーザー発振器(800 nm, 79.3 MHz, <600 mW)を用いた。空気中に電極(<250 Vpp, <100 kHz)を設置し、電極間にEO結晶を設置した。EO結晶にレーザーを通過させて、電極の電場により変化する偏光成分を下流の光学系で測定した。ロックイン検出により、<1 V/cm rmsの電場(空気中、電極距離からの仮定、ZnTe 1 mm厚使用)を検出できる事、結晶を光軸の周方向に回転させると偏光の変化量も最大化できる事が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
外部から電場を印可してEO結晶におけるポッケルス効果を測定できるようになった。このような系を生かして、電子ビーム測定へ応用および測定系の最適化を行うことが可能となった。また、ロックイン検出を電子ビーム測定に適用すれば、電荷量<1 pCの電子ビームであっても測定できることが分かった。電子ビームとレーザーの同期時刻を測定する事により、高効率なレーザー変調へつなげることができる。
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Strategy for Future Research Activity |
最適化されたEO結晶と偏光の測定系を利用し、レーザー変調実験に組み込む。アルミ蒸着ペリクルミラーを用いてレーザーと電子ビームを同軸の配置とし、アンジュレータに入射する。電子ビームとレーザー変調で用いるフェムト秒レーザーの同期時刻を少なくとも10 psの精度で測定する。10 ps未満の調整を光学遅延装置により行い、レーザー変調実験を行う。偏光測定のクロスニコルの光学配置についても検討を行う。 引き続き、レーザー変調を計算可能なシミュレーションコードelegantにより、レーザー変調に必要な条件を検討する。具体的には、アンジュレータの磁場周期長や周期数、レーザーの入射タイミングと強度、電子ビームエネルギー調整も行う。使用レーザー波長および高次の相互作用についても検討を行う。
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Causes of Carryover |
コロナウィルスの影響により旅費の支出が想定よりも少なくなったためである。2021(R3)年度もコロナウィルスの影響がある場合、オンライ学会が主の場合、物品費(計測・制御機器、オシロスコープ、カメラ等)に支出を予定している。
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