2021 Fiscal Year Research-status Report
SIMS-ラマン同時分析用in-situラマン分光光学系の開発
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19K05341
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
小河 浩晃 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 原子力基礎工学研究センター, 研究職 (10414559)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井岡 郁夫 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 原子力基礎工学研究センター, 研究職 (10354804)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | SIMS / ラマン分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
福島第一原発の廃炉関連の研究では、「炉内材料の腐食劣化挙動評価」や「核燃料デブリの解析」が重要であるが、放射線による分析作業者の被曝低減と作業の効率化が求められている。その評価・解析では、化学形態分析、化学構造分析、同位体分析を実施する必要があるが、これら3種を同時分析できる装置は存在しない。本研究では、同位体分析の得意なSIMSと、化学形態分析と化学構造分析が得意なラマン分光計とをハイブリッド化することを提案する。SIMSに構造的な制約があるため、ラマン分光計の作動距離は、30cm程度(超長距離作動型)必要であると共に、高面分解能が要求され、マイクロフォーカス化が不可欠である。SIMS分析中に、in-situで、リアルタイムで同時に、ラマン分析できれば、両者の不得意部分を補うことができる。本研究では、30cmの超長距離作動型でマイクロフォーカス化が可能なラマン用の光学系を開発し、分析作業者の被曝低減と作業の効率化を図る。また、本件開発光学系のSIMS分析系へ導入を想定した光学設計を行い、「光学系-試料表面」間の作動距離を30cm離した「超長距離作動型」の光学系を構築する。レンズ口径を34mmと通常(5mm程度)よりも大きくすることで、レンズ分解能の向上を図り、作動距離30cmで、レーザー光のマイクロフォーカス化を実現する。令和2年度までに、レーザー光を62um程度まで絞り込むことができ、ラマンスペクトル解析に必要となるラマン散乱光のスペクトル位置を予測できるようになったため、令和3年度では、令和2年度に引き続き、理論的な知見を習得した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和3年度は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う所属研究機関における研究活動に対する制限(テレワークの実施等)により、当初計画通りに研究を実施することができなかったため、若干の遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度では、令和3年度までに構築した光学系を使用して、ラマン光を取り込み、それを分光計に導入して、ラマン光の検出を試みるとともに、習得した理論的な知見との比較検証を行う。また、本件の開発光学系をSIMSに導入する方法も検討する。
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Causes of Carryover |
これまで、想定した成果は得られているが、さらなる高性能化では、光学設計上の問題が生じているため、その解決には、理論的な知見を習得する不可欠である。また、詳細な情報解析を進めるためには、さらに深く知見を習得する必要があるため、令和3年度の実施計画の一部を変更して、ラマン散乱スペクトル解析に必要となる理論的知見の習得を優先することとなった。さらに、新型コロナの影響で、研究活動の行動制限が発生した。それに伴い、経費の執行予定も変更したため次年度使用額が生じた。次年度使用額は、当初の実施計画に従い、光学系に係る費用として使用する。
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