2022 Fiscal Year Annual Research Report
光照射したチオシリケート発光材料におけるEu発光中心の局所状態観察
Project/Area Number |
19K05492
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
小林 義男 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (30221245)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | フォトルミネセンス / バリウムチオシリケート / イメージングプレート / メスバウアー分光 / ユーロピウム / 光励起 |
Outline of Annual Research Achievements |
不完全4f電子殻を有するEuやDy, Er, Ybなどの希土類元素をドープした蛍光材料は、様々な光源および液晶ディスプレイに利用されている。BaSi2S5:Euやイメージングプレート(IP)に用いられているBaFBr:Euは、高い発光効率の可視光ルミネッセンスを示して長時間の残光発光を有する。これらの発光材料では、Eu(II)がBa(II)を置換して新たなエネルギー準位(BaFBr:Euではバンドギャップ3.2 eVと2.1 eV)が導入され、この準位への電子の遷移で発光すると考えられている。これまでの温度変化や光照射下の151Euメスバウアー吸収スペクトルの解析により、光照射によりEu(II)が減少してEu(III)が増加する電荷移動が起こることを明らかとした。量子収率測定から、390 nm(3.2 eV)および590 nm(2.1 eV)の発光を観測し、Eu導入によるエネルギー準位を確認した。残光現象の発現は、光照射で励起された電子が伝導帯に遷移後、ある時間経過後に基底状態に戻っていることが考えられる。Euドープした蛍光材料の光照射前後のEuの電子状態を深く理解するために、メスバウアー効果により放出される内部転換電子ならびにX線を光照射条件で測定するメスバウアー分光検出器(CEMS、CXMS)を設計した。内部転換によって放出された電子は、試料中の飛程が短いために表面から深さ約100nmまでのものが電子検出器CEMSで計数される。一方で、脱励起過程で内部転換X線となった成分は試料中の透過力が内部転換電子より勝るので、深さ数10µmまでの表層部分からの情報をもたらす。これを測定するのが内部転換X線メスバウアー分光CXMSである。CEMS/CXMSがともに観測可能な検出器を作製して、光照射下での測定に着手した。
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Research Products
(1 results)