2020 Fiscal Year Research-status Report
口腔の健康維持に寄与する主要口腔細菌群の遺伝子操作系の開発と遺伝子機能の解明
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19K05793
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松見 理恵 九州大学, 農学研究院, 特任准教授 (90397597)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 口腔細菌 / 遺伝子操作系 / 超好熱菌 / アーキア / トキシン-アンチトキシンシステム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、口腔常在細菌叢の中で特に口腔内の健康維持に重要と考えられている細菌群(口腔健康細菌群)に焦点を当て、これら「健康細菌群」の遺伝子機能を解明することにより口腔予防システムの確立につなげていくことを目標としている。そこで今回は、遺伝子機能解明に重要な技術である遺伝子操作系の構築に、超好熱性アーキアのトキシン-アンチトキシン(TA)システムが利用できるのではないかと考え、TAシステムの基本的な毒性を評価した。TAシステムを多く持つ超好熱性アーキアのゲノムを用い、本アーキアが持つ49種類のTAシステムについてトキシン遺伝子単独、あるいはトキシンおよびアンチトキシン遺伝子をオペロンとして大腸菌用の発現ベクターにクローニングした。そして、これらの遺伝子を大腸菌内で発現誘導させることにより、トキシンの毒性の有無を評価した。それに加えてアンチトキシンの存在により、その毒性が中和されるかを検討した。その結果、本アーキアのすべてのトキシンが大腸菌に対し毒性を示したわけではないが、検討したトキシンの約75%が大腸菌に対し強い毒性を示した。またそれらの中で、対となるアンチトキシンの90%以上がこれらトキシンの毒性を中和することを確認した。このことは超好熱性アーキアのTAシステムが中温性の細菌である大腸菌において機能していることを意味する。本研究の対象となる口腔細菌も中温性細菌であるため、適用可能であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の「口腔健康細菌群」の遺伝子機能解明に必要な遺伝子操作系に応用可能であると考えられる超好熱性アーキアのTAシステムの様々なファミリーについて毒性評価を行った。その結果、そのシステムの多くが大腸菌内おいて機能していることを見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
超好熱性アーキアのTAシステムを利用した「口腔健康細菌群」の遺伝子操作系の確立に向け、中温菌である大腸菌において毒性を示したTAシステムの中から、遺伝子操作系に最適なシステムの選択、最適化を行う予定である。
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Causes of Carryover |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため当初の見込み額と執行額は異なったが、研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、当初予定通りの計画を進めていく。
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Research Products
(2 results)