2020 Fiscal Year Research-status Report
スギヒラタケの急性脳症事件の分子機構全容解明とその応用展開
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19K05808
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
鈴木 智大 宇都宮大学, バイオサイエンス教育研究センター, 准教授 (10649601)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前川 文彦 国立研究開発法人国立環境研究所, 環境リスク・健康研究センター, 主任研究員 (40382866)
浅川 倫宏 東海大学, 海洋学部, 准教授 (80571257)
崔 宰熏 静岡大学, 農学部, 准教授 (40731633)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | きのこ / 毒物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
rPPLの大腸菌を用いた異種発現系の構築に成功し、その収量(9.3 mg/L)は既存の発現系と比較して約9倍に向上した。また、rPPLはアクチナーゼE処理赤血球に対して216と強いレクチン活性を示した。さらにPCと混合してプロテアーゼ活性試験を行った結果、PC単独でinsulinと反応させた場合と比較して基質の開裂が増強されることを確認した。さらに、その他のrPPLの諸性質を決定した。 rPP-13,000の大腸菌を用いた異種発現および精製に成功した。rPP-13,000にはレクチン活性は認められなかった。これは、PP-13,000がPPLの部分配列であり、レクチン活性を示すために3か所存在する(QXW)3モチーフのうち1つが欠損していることに起因すると考察される。またrPPLと混合してプロテアーゼ活性試験を行った結果、PEAKS解析によって基質の分解産物が検出されたことから、rPP-13,000とrPPLの混合によってプロテアーゼ活性が発現する可能性が示唆された。 3種のスギヒラタケ毒成分(PPL、PC、PA)をマウスに腹腔内投与後、マウス全脳の組織学的解析を行った結果、海馬において有意なアポトーシス細胞数増加が認められた。この毒性が、BBB破壊によって脳内に取り込まれたスギヒラタケ毒成分によるものであることを立証するため、マウス脳内から高分子化合物であるPPLを検出することを試みた。rPPLとPCを複合的にマウスに投与後、Anti-6 x His antibodyを用いて免疫染色を行った結果、2成分投与群の脳においてrPPLの染色が観察された。 本研究成果によって、スギヒラタケ毒性メカニズムの一端を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
毒性成分の一つとして推定されるPPLの大量発現系の構築に成功した。さらにPPLと混合するとプロテアーゼ活性を示す毒成分の構造決定に成功した。 また組織学的解析の結果から、3種のスギヒラタケ毒成分(PPL、PC、PA)をマウスに腹腔内投与後、マウス全脳の組織学的解析を行った結果、海馬において有意なアポトーシス細胞数増加が認められた。
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Strategy for Future Research Activity |
毒性物質の構造が明らかにされたことから、今後プロテアーゼ活性の気質特異性解析などの生化学的諸性質決定を進める。 また、組織学的解析においては、様々な抗体を用いての解析を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
購入予定していた消耗品が、見込みよりも安価に購入できたため
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Research Products
(8 results)