2020 Fiscal Year Research-status Report
腸管免疫を介した癌制御機構の解明と機能性食品開発への応用
Project/Area Number |
19K05894
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
増田 潤子 岡山大学, ヘルスシステム統合科学研究科, 助教 (20424674)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 宜督 岡山大学, 環境生命科学研究科, 教授 (60324381)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | がん / T細胞 / 骨髄由来免疫抑制細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
高い抗酸化力をもった食品による癌予防と癌治療への効果を期待し、開発され消費されているものの、抗酸化物質摂取による癌への有効性や抗 癌剤との相乗効果においての是非は専門家でも未だ議論が分かれている。消費者の抗酸化食品による期待と予防医学への関心の高まりからも、最新の研究技術を用いた抗酸化物質摂取の癌有効性評価と機能の解明の提示が喫緊の課題である。これまで発癌予防や抗癌剤との相乗効果を解析する抗酸化物質研究の多くが癌細胞と抗酸化物質との直接的な作用のみに焦点を当てたものが主流だった。しかし、摂食した抗酸化物質は癌細胞に到達する前に腸管から吸収され血液循環へと移行するため、 抗酸化物質の影響は腸管や全身の免疫細胞も少なからず受けるはずである。研究代表者は癌の増殖に伴なって骨髄由来免疫抑制細胞(MDSC)が血中に増加することによって癌を認識して攻撃する免疫細胞(抗原提示細胞やT細胞)の働きが抑制されていることを癌移植モデルマウスで明らかにした(Oncol.Rep., 2017, Int.J.Mol.Sci., 2018)。さらに、抗酸化物質の摂食が、MDSCの増加を抑制し、T細胞が癌殺傷能力を維持することで発癌と腫瘍の増大を抑制することを大腸の発癌モデルマウスにおいて見出してきた(Nutrients, 2018)。本研究では、直接腸管に接触することのない組織に発生した癌が免疫担当細胞を制御する未知の機構 を明らかにし、抗酸化物質の摂食による腸管免疫を介した癌の縮小効果を明らかにする過程を通して機能性食品開発につながる評価系を確立することを目的とする。令和2年度は大腸がんモデルマウスを用いて免疫担当細胞の抗酸化物質トランスポーターの発現解析を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に乳がんモデルマウスでの免疫抑制細胞の変化について解析したが、使用した乳がん細胞株は高転移性であるため、実験操作の確立を伴う基礎実験データの取得には不向きであると判断した。そのため令和2年度には非転移性大腸がん細胞株をもちいたがんモデルマウスを作成し、免疫担当細胞の抽出や解析に必要な実験方法の確立を行い、同時に有意義な知見を得た。
|
Strategy for Future Research Activity |
乳がんモデルマウスで得た知見を国際論文へ投稿する。また、大腸がんモデルマウスを用いた免疫細胞と抗酸化物質トランスポーター発現に関する知見も国際論文へ投稿する。
|
Causes of Carryover |
度重なるコロナウイルス感染症予防による研究中断により使用予定の予算を使用する機会がなかった。国内外学会参加出張費や研究打ち合わせに関する予算においても使用する機会がなかった。
|