2020 Fiscal Year Research-status Report
食品成分による新規抗癌活性:アノイキス誘導による癌細胞の浸潤・転移抑制機能の解析
Project/Area Number |
19K05932
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
矢野 仁康 滋賀県立大学, 人間文化学部, 教授 (40304555)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 癌幹細胞 / 細胞死 / ストレスタンパク質 / アポトーシス / 上皮間葉転換 / アノイキス |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画書に記載の如く今年度は,CSCsの腫瘍形成に関わる自己複製能や,浸潤・転移を引き起こす上皮間葉転換 (Epithelial-Mesenchymal Transition : EMT) に対する食品成分が有する抑制効果について解析を行った.我々はこれまで食品成分,中でも柑橘系果物に含まれるヘスペレチンが,Hsp70の発現抑制を介して癌の増殖抑制効果を発揮することを明らかにしてきた.今回,Hsp70の転写因子であるHSF1を介した,癌幹細胞性に対する抑制機構を明らかにすることを目的に解析を行った.A549をヘスペレチン処理,またはRNAi法によりHSF1をノックダウン した後,癌幹細胞性に関わる各種タンパク質の発現をW.B法,IF法にて解析した.ヘスペレチンの自己複製能へ与える影響は,低接着シャーレに無血清培地で培養し作成したsphereを用いて検討した.sphereと接着型A549における各種因子の発現の比較は,RT-qPCR法を用いて解析した.EMT関連因子の発現は,低接着シャーレで培養し作成した浮遊癌細胞にヘスペレチン,またはHSF1をKDし解析した.遊走能はWound healing assay,浸潤能はTranswell invasion assayを用いて検討した.ヘスペレチンは,A549のHSF1に対する発現抑制効果を有することが明らかとなった.このとき,自己複製能維持に関わる因子の発現が抑制され,sphere形成能も低下傾向を示した.そこでHSF1をKDしたところ,同様の抑制効果が認められた.また,sphereを形成させた後に,ヘスペレチン処理もしくはHSF1をKDしても,同様の遺伝子発現抑制効果が見られた.さらに,ヘスペレチンはHSF1の発現を抑制することで,各々のEMT関連因子の発現を低下させ,遊走能及び浸潤能を阻害することが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画調書に記載した本研究の研究テーマA,B,CのBに相当する, 食品成分による癌幹細胞(CSC)傷害機能についての解析 についての研究が,上記の如くおおむね順調に達成出来ているため.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は,本研究テーマCに相当する 食品成分と抗癌剤の併用による癌の浸潤・増殖・転移抑制効果についてのin vivo解析についての解析 を行う予定である.
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