2023 Fiscal Year Annual Research Report
大麦若葉由来葉緑体チラコイド膜糖脂質の炎症性腸疾患抑制作用の解析
Project/Area Number |
19K05936
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Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
奥 和之 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (40549797)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮田 富弘 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (00200189)
宮田 恵多 山梨学院大学, 健康栄養学部, 准教授 (90736290)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 炎症性腸疾患 / 大麦若葉由来糖脂質 / 腸管マクロファージ / 炎症性サイトカイン / 抗炎症性サイトカイン / 細胞障害抑制 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,大麦若葉由来糖脂質(YBLP-GL)の腸管炎症抑制効果とその作用メカニズムについて,培養細胞を用いた腸管炎症モデルによる検討を行い,炎症性腸疾患の抑制と症状緩和の知見を得ることを目的とした. 1)Caco-2細胞を用いた腸管炎症モデルにおいて,YBLP-GL添加によるTNF-α誘導細胞障害性を抑制するとともに炎症性サイトカイン分泌を抑制することをタンパク質および遺伝子レベルで確認した。 2)活性型マクロファージ様細胞として,PMA処理したヒト急性単球性白血病THP-1細胞を用いた炎症モデルにて検討したところ,YBLP-GL添加により炎症性サイトカイン(TNF-α,IL-6,IL-8,IL-12,IL-23,TGFβ)の分泌を抑制した.さらにIL-6,IL-8遺伝子の発現に関与する転写因子である活性型Nf-κB濃度もYBLP-GL添加で有意に低下し,YBLP-GLの炎症誘導抑制効果が示された。一方、抗炎症性サイトカインIL-10分泌促進をタンパク質および遺伝子レベルでの発現促進が認められており,YBLP-GL添加による腸管マクロファージの抗炎症性マクロファージ(M2マクロファージ)への分化・誘導が示唆された. 3)2023年度は主に,炎症性腸疾患モデルとしてTHP-1マクロファージとCaco-2細胞の重層共培養系でのYBLP-GLの炎症誘導抑制作用を検討した.Caco-2細胞側培養液中の乳酸脱水素酵素濃度がYBLP-GL無添加に比べて低値であり,腸管炎症による細胞障害作用を抑制することがわかった.また、培養液中の炎症性サイトカイン濃度の低下とTHP-1マクロファージとCaco-2細胞の炎症性サイトカイン遺伝子の発現抑制がみられた。 以上の結果から,大麦若葉由来糖脂質は腸管マクロファージ分化・誘導を制御して炎症抑制作用を示し,炎症性腸疾患の抑制に寄与することが示唆された.
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