2020 Fiscal Year Research-status Report
植物ウイルス感染による退緑症状発病機構の解明と耐病性植物作出の試み
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19K06059
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
望月 知史 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (30469837)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 退緑症状 / キュウリモザイクウイルス / 外被タンパク質 / 葉緑体 |
Outline of Annual Research Achievements |
1) キュウリモザイクウイルス(CMV)M系統の外被タンパク質はフェレドキシンIタンパク質(ntFdI)と直接相互作用して、ntFeIの葉緑体局在を阻害して退緑を引き起こすことが報告されている。昨年度はpepo系統とその変異CP全てがntFdIと相互作用することをYeast two-hybridにより明らかにしていた。本年度は、Bimolecular fluorescence complementation(BiFC)法により、タバコ細胞内においてもpepo系統とその変異CP全てがntFdIと相互作用することを明らかにした。しかしながら、pepo系統やそのCP変異株そしてpepo系統のCPをM系統のCPと置換した変異株が感染したタバコ退緑組織細胞においても、ntFdIの葉緑体局在は阻害されないことを再度確かめた。以上から、CMV CPとntFdIの相互作用は退緑発現に直接的には関与していないことが示された。 2) pepo系統(129P)とその変異CP(129Q)が単独発現する遺伝子組換えシロイヌナズナの作出を行った。エストラジオール誘導プロモーター下流に129Pと129Q CPをクローニングし、Floral dip法によりシロイヌナズナに導入してT1種子を得た。抗生物質より129Pと129QのホモT2個体をそれぞれ数ライン選抜した。さらに、T2個体にエストラジオールを処理することにより、それぞれのCPが発現することをDot Immuno-Binding Assayで確かめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CMV pepo系統の外被タンパク質(CP)とフェレドキシンIタンパク質との相互作用が退緑症状発現に直接的に関与していないことを示すことができた。また、エストラジオールを処理することによりpepo系統(129P)あるいはその変異CP(129Q)を発現誘導するシロイヌナズナの組換体を数ライン得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
1) CMV pepo系統のCPとntFdIの相互作用の生物学的な意義をさらに解析するために、PCとntFdIの部分欠損遺伝子を作出し、ntFdIと相互作用するCP領域およびCPと相互作用するntFdI領域を決定する。また、pepo系統のCPとntFdIの相互作用が宿主植物の抵抗性発現に与える影響を解析する。 2) 129Pと129Qが発現するシロイヌナズナ個体にエストラジオールを処理し、129Qにおいて激しい退緑が再現できるかどうかを確かめる。退緑症状が再現できた場合、組換えシロイヌナズナ種子を変異誘導剤EMSで処理し、突然変異を誘発させてM2種子を得る。退緑症状が再現できない場合、CPの単独発現は退緑症状を誘導しないことになるので、129Qが発現するシロイヌナズナにCMVを接種し、退緑症状発現におけるCP以外ウイルスタンパク質の関与を解析する。
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Research Products
(5 results)