2020 Fiscal Year Research-status Report
Origin of plant species diversity hot spot by means of reciprocal colonization between China continent and Japanese islands
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19K06122
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
阿部 晴恵 新潟大学, 佐渡自然共生科学センター, 准教授 (60462272)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ツバキ属 / 相互移入 / ユキツバキ / 花粉媒介系 / 分子系統解析 / 菌類 / 種多様化 / アジア大陸 |
Outline of Annual Research Achievements |
ツバキ節を中心としたツバキ属の分子系統学的研究を行うことで、中国大陸での生物群集の多様性形成における日本列島の役割を、大陸(本土)から島嶼環境へ移入し固有化した植物種が大陸へ再移入し、祖先種との相互作用(交雑など)を通じで種多様化の駆動力になるという仮説の検証を行っている。検証方法は以下の3点を予定している。 1.日本列島集団及び中国祖先集団における表現形質の比較 2.集団間の分子系統地理学的解明 3.自然選択に関わる適応的遺伝子を用いた分子系統地理学的解明 昨年度は1を実施したものの、2.3については、冬期に予定していた中国での調査がコロナウイルス対策のため実施できなかった。今年度も2.3については同様の理由で実施できなかった。このため、日本国内におけるツバキ属をめぐる相互作用系の調査として、ツバキ節と近縁なパラカメリア節であるサザンカの形質および花粉媒介者調査を行った。また、相互作用系を通じた進化にかかわる系として菌類との相互作用に注目した研究を行った。葉の内生菌や落葉分解菌に関しては、ユキツバキとヤブツバキの葉では異なる内生菌が優占することが明らかになった。ユキツバキの当年葉ではElsinoe spp.が、二年葉ではPhyllosticta spp.、新規落葉では佐渡地点ではCoelophoma spp.、入広瀬地点ではLambertella spp.が優占することが明らかになった。さらにツバキ属植物の花に感染して病気を生じ、落花に菌核を形成するツバキキンカクチャワンタケについて、野生のヤブツバキおよびユキツバキ集団での感染に関する調査を行った。今後は送粉系だけでなく分解系がツバキ属の種分化に与える影響についても検証を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
調査対象種の調査が冬期を中心に行う必要があったが、コロナウイルスのため、海外不を含む予定していた調査が出来なかった。しかし、国内でのツバキ節の分解菌に関する研究を進めることや、ツバキ属のサザンカの花粉媒介及び花形質にかかわる調査を行うことが出来た。今後、海外においても分解に関わる相互作用についての研究も進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度以降に海外調査をまとめて行い、集団間の分子系統地理や自然選択に関わる適応的遺伝子を用いた分子系統地理についての解析を進める予定である。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス対策のため、予定していた海外渡航が出来ず、そのために予定していた旅費及び調査にかかわる消耗品類の購入が出来ず、次年度に調査を行う予定としたため。
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Research Products
(5 results)