2023 Fiscal Year Annual Research Report
有機態リン再生過程とリン酸-酸素安定同位体解析に基づくリン循環の解明
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19K06196
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
池谷 透 京都大学, 生態学研究センター, 研究員 (70361590)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥田 昇 神戸大学, 内海域環境教育研究センター, 教授 (30380281)
伴 修平 滋賀県立大学, 環境科学部, 教授 (50238234)
石田 卓也 広島大学, 先進理工系科学研究科(総), 助教 (70759571)
丸尾 雅啓 滋賀県立大学, 環境科学部, 教授 (80275156)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 有機態リン / オルトリン酸 / リン酸酸素安定同位体 / リン酸エステラーゼ / エクトエンザイム / 滞留時間 / 閉鎖性水域 / 微生物メタゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
調査地の内湖のリン制限には、流入量の晩秋期の減少と降雨の一時的変動が滞留時間の変動を介して影響するため、集水域の治水・水田の利水・内湖の保全を目的とする人為的な制御と降水量・蒸発量の季節変化の流入量への影響を明らかにした(池谷ほか, 2024a・2024b)。4月は上流側の柳平湖と下流側の平湖、共に、クロロフィル濃度や懸濁態のリン濃度が低く、オルトリン酸が溶存態全リンに占める割合や、リン酸モノエステル(PM)結合に比して易分解性有機態リンプールにリン酸ジエステル結合(PD)とピロリン酸ジエステル結合(PP)の占める割合が大きかった。7月以降は、両内湖のクロロフィル濃度や懸濁態のリン濃度の増加を伴って懸濁物のC/PやN/P比が増加し、さらに、10月に向かって滞留時間が増加したために、内湖のリン制限が厳しくなった。リン制限の最も厳しかった10月の平湖では、リン酸モノエステル・ジエステルの分解酵素活性が半飽和定数の低下を伴って増加し、平湖のPM・PD・PPが極低濃度まで利用された。一方、流入水や上流の柳平湖では、10月の調査直前の降雨によってオルトリン酸を含む各形態リン濃度が一時的に増加したことによってリン制限が緩和され、有機態リンの利用速度が低下した。特に、PDとPPが有機態リンに占める割合は4月のレベルにまで増加し、柳平湖のPDとPPの回転時間は50~60時間程度と10月が最も長くなった。4・7・10月のいずれも、リン酸酸素安定同位体比の流下方向に向かう減少傾向と同位体平衡モデルとの差について同時調査の分析結果が得られたことから(Yi et al. 2024)、本研究のエステラーゼの種類ごとの有機態リンの分解速度と比較することによって、リン制限強度が異なる二つの内湖のオルトリン酸の再生速度とその基質となる有機態リンの分子種や浮遊微生物群動態について議論することが可能になった。
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Research Products
(3 results)