2020 Fiscal Year Research-status Report
Decision support system for proper hervesting of fruits with ripening
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19K06311
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
元永 佳孝 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (60334653)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大竹 憲邦 新潟大学, 自然科学系, 教授 (50313507)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 収穫適期判定 / 色彩画像処理技術 / ヨウ素デンプン反応 / 果実品質調査 / アミラーゼ活性 |
Outline of Annual Research Achievements |
追熟を有する果実では、その品質や市場価値などが収穫する時期により、大きく左右される。そのため、適期での収穫が非常に重要であり、適期を外した収穫を行うと正常に追熟せず、出荷が出来ない場合もある。 本研究は、西洋ナシ'ル レクチエ'を対象とした適期収穫を支援するクラウドシステムの構築であり、要素研究1:ヨウ素デンプン反応による収穫適期判定法をもとに、色彩画像処理技術を用いて客観的に評価を行い、判定確度を向上させるシステムの開発と、要素研究2:新規手法として果実の成熟に伴う内部成分の変化に基づく収穫適期判定と果実品質推定手法の確立の2つの要素研究からなる。 成熟過程における果実のヨウ素デンプン反応情報の収集と解析は研究期間(3年間)を通して行う課題であり、昨年度同様に収穫適期前後3週間の期間で毎週2樹体から20果を採取し、10果はヨウ素デンプン反応処理および品質計測を行い、残りの10果は追熟処理を行った。収穫時調査のデータを用いて、昨年度構築した色彩画像処理によるデンプン分解特性の算出アルゴリズムに改良を行った。改良点としては、デンプンの分解程度、他物質による影響による呈色部の色具合変化を把握し、それらの影響を加味したデンプン分解特性を判断する機能の付与である。また、収穫時および追熟後の果実の品質計測の結果から、追熟に伴い、糖度は約1度上がることが示され、収穫時に糖度の低い果実は追熟後可食の状態になっても糖度は低いことが示された。また、収穫の指標となるデンプンの消失とその原因となるアミラーゼ遺伝子に着目し、その働きと発現特性を調査した。早い収穫時期から果実中心部に強い活性を持つアミラーゼが検出された。その後、収穫時期が遅くなるにつれ、果実の外側に発現する傾向が示された。このことを加味して収穫適期判定を行うことが有用であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究を構成している要素研究は、要素研究1:色彩画像処理による収穫適期判定システムの開発、要素研究2:果実内部成分変化に基づく収穫適期判定・果実品質推定手法の確立であり、要素研究1は1-1:成熟過程における果実のヨウ素デンプン反応情報の収集と解析、1-2:色彩画像処理によるデンプン分解特性の算出アルゴリズム、1-3:収穫適期判定システムのプラットフォーム、要素研究2は2-1:成熟・追熟過程における果実内部成分変化特性の分析と解析、2-2:可食期における果実品質調査、2-3:成熟過程における果実内部成分と可食期における果実品質の関係性解析からそれぞれ成り立っている。 このうち、1-1、2-1、2-2は研究期間(3年間)を通して行うものであるが、昨年度、今年度とも計画通り実験、解析が進んでおり、生産年度間に差異も確認され、十分なデータ取得が行われている。また、1-2、1-3も上記データを用いてアルゴリズムの開発、改良が進んでおり、そのプラットフォームへの実装はやや遅れているものの問題点などは明らかになっており、その対応策も十分な状態である。さらに、2-3は今年度から取り組んでいる課題であるが、方法論は確立されており、次年度のデータを用いれば、十分な成果が期待できる。以上のことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
1-1:成熟過程における果実のヨウ素デンプン反応情報の収集と解析、2-1:成熟・追熟過程における果実内部成分変化特性の分析と解析、2-2:可食期における果実品質調査については、今年度同様に、収穫適期前後3週間の期間で毎週2樹体から20果を採取し、実験、解析を行う予定である。ただ、生産年度による樹体の変化もあるため、同じ樹体の果実を供試するか、どうかについては、生育状態によって判断する。可食期における果実品質調査の項目は、大きさ、外観(汚れ、アザ)、形状(果形、表面凹凸)、生理障害・病害虫、果肉硬度(赤道部、てい部)、糖度、酸味、香り、肉質、渋味としているが、2-3の関係性解析の結果に基づいて、項目の加減、評価手法の改良も行う予定である。 1-2:色彩画像処理によるデンプン分解特性の算出アルゴリズム、1-3:収穫適期判定システムのプラットフォームについては、デンプン分解特性の算出アルゴリズムの全ての機能を実装するとともに、生産現場での操作性を考えた場合、照明環境が異なった場合の補正機能、被写体との距離や角度などに対する補正機能などが必要となるため、それらの実装を行うとともに、利便性を考えたユーザインターフェースを実装させた後に、現場実証試験を行い、その有用性を検証する。 2-3:成熟過程における果実内部成分と可食期における果実品質の関係性解析については、果実の個々の内部成分と可食期における果実品質の関係性の網羅的な解析を行い、生産年度による差異や変動の影響を各項目ごとで検証するとともに、追熟前に果実の選果(等階級選別)に有用となる情報抽出を行う。生産年度による変動について、気象情報などを用いた環境的な要因、樹体状態の要因などの各種因子についての検討も行う。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で学会などの旅費の使用を行わなかった。その予算は不調であった成分分析機器の修理などに使用したが、使用額の残額が生じた。使用計画としては、次年度は実証実験などを行うため、情報機器の充実に使用する予定である。
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Research Products
(3 results)