2020 Fiscal Year Research-status Report
Agricultural robot system to realize the three laws of robotics
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19K06317
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
門田 充司 岡山大学, 環境生命科学研究科, 教授 (80239714)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
難波 和彦 岡山大学, 環境生命科学研究科, 准教授 (90263623)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 農業ロボット / 安全性 / 作業効率 / センシングシステム / 危険度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,センシングシステム,危険度の算出,ロボット制御の3要素から構成されるシステムにより,安全かつ効率的な農業ロボットシステムを実現することを最終目標としている。 初年度には,収穫ロボットの外界センシングシステムにおいて,トマトの果房の中から収穫適期の果実を識別する視覚アルゴリズムの開発を行った。カラーカメラと3次元距離センサが一体となったセンサを用いて,距離情報を用いて識別を行った。カラー画像内において収穫対象となる赤色果実の領域を抽出し,その中でセンサに最も近い点(検出距離の最も小さい点)を代表点とする。代表点から赤色領域の境界線までの距離情報の変化を360度走査して求め,対象果実が他の果実と隣接しているかどうかを判断する。実験の結果,約80%の果房において,収穫対象果実の識別に成功した。 2020年度は人間に対する安全性を確保するために,同様のセンサを用いて人体の検出実験を行った。収集した3次元距離情報から人体の領域を抽出し,身体の各部位を骨格モデルにあてはめて頭部や手先,各関節の座標を推定した。頭部の座標を人間の代表点とし,その位置や移動速度を算出し,人間の移動が検出可能かを検証した。人間の様々な動作に対して検出実験を行った結果,人間の位置や移動速度,移動方向を良好に検出することができた。また,手先の位置も検出できたので,人間がロボットの近くで,手を伸ばして作業を行うような状況も把握できると考えられた。また,ロボットハンドや人間の頭部の位置や移動速度をパラメータに含めた危険度関数を基に,コンピュータシミュレーションでロボット制御の基礎実験を試みた結果,危険度の大きさに応じたロボット制御の実現の可能性が確認された。2021年度はさらに危険度関数のパラメータや係数等を検討し,コンピュータシミュレーションによる検証ならびに実際のロボットを用いた制御の準備を開始する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の実験に使ったセンサを用いて人体検出の室内実験を行った。3次元距離情報から,人体の各関節の座標を求めることで,大まかな姿勢を検出することができた。また,頭部の座標を人間の代表点とすることで,人体の位置や移動速度,移動方向を算出することができた。さらに人間の手先の座標を求めることで,ロボットの方向に手先を伸ばした状況も推定可能となることが分かった。ロボットハンドや人間の頭部の位置,移動速度等をパラメータに含めた危険度関数を作成し,コンピュータシミュレーションでロボット制御の基礎実験を試みた。その結果,危険度の大きさに応じたロボット制御の実現の可能性が確認された。 2021年度には,危険度関数の更なる検討をまずはコンピュータシミュレーションによって行い,次に実際のロボットを用いた制御の準備を開始する予定である。 ロボットアームの購入は次年度となったが,研究内容に関わる進捗状況としては,おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度には,2020年度に行った危険度関数を用いたロボット制御のコンピュータシミュレーションを基に,さらに危険度関数の詳細な検討を行う。具体的には,ロボットと人間の距離や相対速度,移動方向を危険度関数のパラメータに含め,安全性を確保しつつロボットの作業効率も低下させないようなパラメータの組み合わせや係数の調整などを検討する。2020年度の実験では,頭部を人間の代表点としていたが,手先等の動きも考慮した危険度関数に発展させる。また,コンピュータシミュレーションではロボットの移動機構を停止させて作業を行っている状況を想定していたが,ロボットが異動する場合の危険度関数,およびロボット制御も検討する。危険度関数が確定すれば,実際のロボットを用いた制御の準備を開始する予定である。
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Causes of Carryover |
設備備品であるロボットアームは2020年度に購入する計画であったが,交付額が申請額を大幅に下回ったため,昨年度および来年度の直接経費の一部と合わせて,2021年度に購入することとした。また,購入予定のアームは,新型コロナウイルスの影響(部品調達等による在庫の有無や購入業者との打ち合わせの可否)により,購入時期は未定である。
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