2019 Fiscal Year Research-status Report
営農型太陽光発電のシステムおよび作型の最適化アルゴリズムの構築
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19K06338
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
霧村 雅昭 宮崎大学, 農学部, 助教 (40433065)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 営農型太陽光発電 / 栽培環境 / ビッグデータ / 再生可能エネルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
営農型太陽光発電は農地保全や農家所得の向上,エネルギーの地産地消,太陽光発電用地確保などの観点から期待されているが,営農型太陽光発電に適した栽培管理方法の確立が課題となっている.本研究課題では農地に設置した営農型太陽光発電設備が栽培環境へ及ぼす影響の調査や栽培試験による営農型太陽光発電に適した作目や品種,作型の検討により,農業と太陽光発電事業を両立させる管理法の確立を目的とした. 2019年度は,通常の畑地を対照区とし,営農型太陽光発電設備下(パネル角度30度)の畑地において,太陽光パネルの密度が異なる発電半量区および発電優先区を設け,ジャガイモ(男爵薯,メークイン,キタアカリ,インカのめざめ),サトイモ(石川早生,赤芽大吉),サツマイモ(紅はるか,宮崎紅)およびダイコン(耐病総太り,三太郎)を栽培し,発電設備の有無やパネル密度が栽培環境や作物の生育,生産物の収量に及ぼす影響について調査した. 収穫調査は収量の経時的変化を評価するため,各作において2回または3回実施し,栽培条件,栽培期間,収穫物の大きさおよび出荷基準から最適な収穫タイミングを検討した.秋蒔きのダイコンは発電半量区および発電優先区の生育は対照区よりも遅延したが,栽培期間中に出荷基準に達した.他の作物も同様な傾向がみられた. ダイコン栽培は年1作が一般的であることから,営農型太陽光発電設備下において栽培期間が延びたとしても,収穫物は出荷基準に達することから営農上問題はないと考えられる.むしろ,播種日は同じであっても,遮光率を変えることで収穫適期を変えることができるため,作業工程の簡略化が可能となる.ただし,切り干しダイコンとして栽培する場合は,生育が早く,根重が大きくなる対照区が適している. 以上の結果から,営農型太陽光発電設備下における根菜類の栽培により,適切な営農が可能であることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
事前に実験環境を整備していたころから予定した実験は順調に進んでいる.今後も栽培試験を進め,データの取得および解析を行う.2019年度は根菜類を中心に取り組んだが,葉物野菜や水耕栽培についても調査する予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
所有していたデータロガーはバッテリーの消耗が早く,データ回収やバッテリ交換などの作業が煩雑であったことから,データロガーの更新を検討し,データの欠損等を予防する. また,これまでは露地を対象とした営農型太陽光発電について調査していたが,台風の影響や病害虫の影響が大きく,葉菜類や果菜類の栽培試験は困難であったことから,ハウスを用いた水耕栽培や寒冷紗を用いた遮光試験を行う予定である.これにより,事例の少なかったハウス上部での営農型太陽光発電やエネルギーの地産地消の検討,遮光が栽培環境や生育に及ぼす詳細なデータ収集についても行う予定である.
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Causes of Carryover |
購入予定であった機器よりも価格的にも性能的にも優れたものが見つかり購入を延期し,既存の機器を使用したため,次年度使用額が生じた.また,肥料やマルチなどの植物栽培資材についても所有していたものを優先的に使用したことから,同様である.ソフトウェアはライセンス期間を考慮し,次年度の購入とした. 今後の研究の推進方策に基づき,計画的に執行する.
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Research Products
(1 results)