2021 Fiscal Year Research-status Report
営農型太陽光発電のシステムおよび作型の最適化アルゴリズムの構築
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19K06338
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
霧村 雅昭 宮崎大学, 農学部, 助教 (40433065)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 営農型太陽光発電 / 栽培環境 / ビッグデータ / 再生可能エネルギー / コマツナ / ミズナ / カブ / ホウレンソウ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,営農型太陽光発電のビッグデータを用いた発電量と収量の予測モデルの構築・統合,最適解に基づく新しい作型の構築と経済性の最大化を検討している. これまでに営農型太陽光発電の研究圃場で測定した太陽光発電の発電量,太陽光パネル面と農地の日射量および光合成有効光量子束密度,気温,湿度,地温,土壌水分などの気象データをまとめ,さらに気象庁の過去のデータ,日本各地の過去の農作物の単収データ,農作部物の市場価格のデータを収集した.また,収集したデータを基に営農型太陽光発電の設置の有無やパネル密度と農作物の生産量や発電量との関係を検討した. 今年度は2014年度に栽培したコマツナ,ミズナ,カブおよびホウレンソウの農作部物の市場価格のデータを収集し,収穫量から農業収入を算出した.算出した農業収入と太陽光発電による売電収入を合算し,1)農業収入,2)発電収入および,3)農業収入と発電収入の合計について比較検討した.その結果,農産物の価格は出荷時期によって異なること,太陽光パネルの設置角度によって発電収入や農産物の生産量が異なること,営農型太陽光発電では農業収入と発電収入のバランスが重要であることが明らかとなった.また,営農型太陽光発電では冬野菜としてコマツナやミズナ,カブは栽培可能であることも明らかとなった.農地上部に設置した太陽光発電設備による遮光により,これらの生育は遅延したが,最終的には出荷基準を満たすサイズまで成長し,太陽光発設備下での営農は可能であることが明らかとなった.ただし,ホウレンソウは太陽光発電設備下での生育遅延が大きく,営農型太陽光発電に適した播種時期や収穫時期の検討が必要である. また上記内容を論文にまとめ投稿し,受理された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大学の改修工事に伴う研究室の移設や新型コロナウイルス感染拡大防止のため,学内での栽培試験は実施できなかったが,過去に収集したデータやWeb上に公開されている気象データ・市場価格データを用いて営農型太陽光発電の収益性について検討することができ,その成果を論文にまとめて投稿し,受理された.
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Strategy for Future Research Activity |
過去に実施した栽培試験で収集したデータやWeb上に公開されている気象データ・作物の市場価格データを用いて営農型太陽光発電の収益性について検討する.特に売電価格の影響について注目し,数種の作物(ダイコン,ブロッコリー,ニンジン,シュンギク,オクラ,エダマメ,スッキーニなど)の生産性とともにいくつかのシナリオを作成し,経済性最適(所得最大)条件について探索,検証する.
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Causes of Carryover |
大学の改修工事に伴う研究室の移設や新型コロナウイルス感染拡大防止のため,研究データの処理や論文執筆が遅れ,また発表予定であった学会の大会が中止となったため,未使用額が生じた.次年度に開催される学会の大会での発表や論文投稿に関わる費用に使用する予定である.
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Research Products
(1 results)