2021 Fiscal Year Annual Research Report
腸内細菌叢を利用したブタの飼料要求率における新しい育種手法の開発
Project/Area Number |
19K06349
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
上本 吉伸 東北大学, 農学研究科, 准教授 (50606837)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 腸内細菌叢 / 遺伝率 / ホストジェネティクス / ブタ |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度にデュロック種1900頭について、飼料利用性形質と産肉形質との間の遺伝的関係を明らかにするために遺伝的パラメーターの推定を行った。また、糞便のサンプリングを行った。 2020年度には、飼料要求率(FCR)の記録を有する71頭について、糞便サンプルから細菌DNAを抽出し、16S rRNA解析を実施した。さらに、得られた配列情報を用いて分類解析を行い、存在量の多い分類群(OTU)を遺伝解析に用いた。また、2019年度に続き、糞便のサンプリングを行った。 2021年度では、これまでに行った分類解析結果を用いて、各個体の菌叢の多様性を示す指標であるα多様性を求め、α多様性と表型相関を調査した。その結果、2つのα多様性指数(Shannon指数およびFaithPD)とFCRが-0.22および-0.36の表型相関を示した。したがって、菌叢の多様性が上がるほど、飼料利用性が高くなるという結果が示された。次に、α多様性の遺伝性を調査するために、デュロック種400頭分について、糞便サンプルから細菌DNAを抽出し、16S rRNA解析を実施した。得られた配列情報を用いて分類解析を行い、2つのα多様性指数を求めた。このα多様性指数の遺伝性を調査するために、遺伝率(h2)の推定を行った結果、Shannon指数およびFaithPDのh2は、0.37および0.28と中程度の値が推定された。したがって、個体の菌叢の耐用性は遺伝的な影響を受けることが示唆された。次に、表型分散に占める菌叢の影響を示す指標であるMicrobiability(m2)を推定するために、産肉形質で調査した結果、特に一日平均増体重(DG)がh2=0.68でm2=0.17と産肉形質なのかで最も高いm2を示した。したがって、DGは遺伝的影響とともに菌叢組成による影響も受けることが示唆された。
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Remarks |
国際誌であるAnimalのHighlighted Article 2021年11月号に選出され、その概要をHP上で紹介していただいた。
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