2020 Fiscal Year Research-status Report
世代を通した導入遺伝子の発現安定化を目指したDNAメチル化の人為的制御法の確立
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19K06460
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
山本 耕裕 大阪医科大学, 医学部, 講師 (20613558)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | サイレンシング / DNAメチル化 / transgenerational |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では世代を越えると導入遺伝子の発現が抑制される“導入遺伝子サイレンシング”を回避する方法の確立を目的とする。これら遺伝子サイレンシングの実体は導入遺伝子プロモーターの高DNAメチル化に起因すると考えられているため、まずメダカ雌雄配偶子形成過程と初期発生におけるDNAメチル化パターンの変動をDNAメチル化の特異的である5メチルシトシン抗体を用いた免疫組織的手法とDNAメチル化状態の網羅的解析から行った。2020年にメダカ配偶子形成過程から初期胚までのDNAメチル化状態の網羅的な解析が報告された(Epigenetics. 15:5, 483-498 2020)。この報告では生殖細胞は幹細胞型から減数分裂へと分化の過程で、DNAメチル化が減少すること、配偶子過程においてDNAメチル化には大きな雌雄差が生じることを示した。前年度に本研究で得られた結果とは大きく異なった結果であったため、本年度はより詳細にDNAメチル化パターンの解析を行ったところ、全ゲノム解析からメダカでは両性の幹細胞型生殖細胞および卵、精子では高メチル化状態であることが明らかになった。しかしながら、成熟卵においては幹細胞型生殖細胞および精子に比べメチル化程度が減少することが分かった。さらに幹細胞型、第一減数分裂、第二減数分裂、成熟型それぞれの生殖細胞において5メチルシトシンの染色から成熟卵においてメチル化程度が低いことが認められた。これらの結果からメダカでは哺乳類に比べてDNAメチル化パターンの変動は少ないが、卵形成においてメチル化頻度が減少することが明らかになった。そのため、導入遺伝子が母方から次世代に受け継がれる際に遺伝子サイレンシングが起きる可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年に発表された論文との比較のため、全ゲノムメチル化解析を再度行った。さらに免疫染色も解像度を高め、定量的に解析を行ったため、これらの解析に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
遺伝子サイレンシングがDNAメチル化に起因するのか明らかにするため、新規メチル化修飾酵素のダブルノックアウトおよびトリプルノックアウトの作出を行う。これらトリプルノックアウト個体において遺伝子導入を行いレポーター遺伝子の発現を介して遺伝子サイレンシングにおけるDNAメチル化の役割を解析する。
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Causes of Carryover |
今年度は所属する研究室に既存の研究機器および消耗品を使用することができたため、次年度使用額が生じた。 次年度はレポーター遺伝子の観察のため、実体蛍光顕微鏡の購入を予定しており、今年度の予算を次年度に使用する予定である。
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