2023 Fiscal Year Annual Research Report
世代を通した導入遺伝子の発現安定化を目指したDNAメチル化の人為的制御法の確立
Project/Area Number |
19K06460
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Research Institution | Osaka Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
山本 耕裕 大阪医科薬科大学, 医学部, 講師 (20613558)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | DNAメチル化 / 生殖細胞 / transgeneration |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では世代を越えると導入遺伝子の発現が抑制される“導入遺伝子サイレンシング”を回避する方法の確立を目指す。これまでの報告から、導入遺伝子の発現状態が世代を超えるに従ってサイレンシングを受ける原因は導入遺伝子プロモーターの高DNAメチル化に起因すると考えられている。哺乳類では初期発生と生殖細胞形成過程において大規模なDNAメチル化の変動が認められる。同様のDNAメチル化状態の変動が魚類においても起きているのかを調べるため、メダカ雌雄配偶子形成過程と初期発生におけるDNAメチル化パターンの変動をDNAメチル化の特異的である5メチルシトシン抗体を用いた免疫組織的手法により解析した。さらに、次世代シークエンサーによるDNAメチル化状態の網羅的解析からどのような遺伝子群においてDNAメチル化の変動が起こるのかを解析した。これらの解析からメダカにおいては哺乳類でみられるような大規模なDNAメチル化の変動は起こらないことが明らかになった。しかしながら、卵形成過程においてDNAメチルの減少が認められるため、母方より導入遺伝子が次世代に伝わる際に遺伝子サイレンシングが起こると示唆できる結果を得た。 導入遺伝子のサイレンシングにおけるDNAメチル化の関わりを直接的に明らかにするため、De novo DNAメチル化の修飾酵素であるDnmt3のノックアウトメダカの作出をCrispr-cas9を用いて行った。メダカにおいてはDnmt3b遺伝子は2種類存在するため、これら2つの遺伝子に対してそれぞれノックアウト個体を作出し、その後交配によりダブルノックアウトメダカを得た。これらのダブルノックアウトメダカは発生可能であったが、WTに比べ明らかに黒色の表現型を示すことが明らかになった。これらの結果からDnmt3bダブルノックアウトメダカでは色素関連遺伝子のDNAメチル化状態の変化が示唆された。
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