2020 Fiscal Year Research-status Report
電気生理学と分光学の統合によるイノシトールリン脂質ホスファターゼの動作原理の解析
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19K06585
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
川鍋 陽 香川大学, 医学部, 講師 (10707128)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 電位依存性ホスファターゼ / 電気生理学 / Patch Clamp Fluorometry / イオンチャネル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、イノシトールリン脂質脱リン酸化酵素(PIPase)の酵素活性制御モデルの検証および構造変化解析を行う。具体的には電位依存性ホスファターゼVSPもしくはPTENに導入した非天然蛍光アミノ酸Anapの蛍光・FRET変化を検出することにより活性化状態へと至る構造変化の実体とPIPaseに共通する動作原理を明らかにする。 前年度に現所属への異動があり、既存のシステムを利用することが困難となった。そのためパッチクランプ法から二本刺し膜電位固定法ベースに変更して、当初目的を達成するための蛍光・電流同時計測システムの立ち上げを行った。このシステムが稼働することは赤色蛍光色素テトラメチルローダミン(TMRM)でラベルした Ci-VSP G214Cの蛍光変化を観測することで確認できた。しかし、本年度になり所属研究室において新たにパッチクランプ法による測定が可能な電気生理学装備と高感度scMOSカメラ、高輝度LEDが整備されたため、電流-蛍光リアルタイム同時計測が可能となり、当初計画に近い研究を推進できることとなった。現状では、膜電位感知蛍光タンパク質Merm2を培養細胞に発現し、膜電位依存的な蛍光変化をWhole-cell状態で計測することが可能となった。続いて、上述した蛍光物質TMRMでも使用できるか、Ci-VSP G214Cを発現させた培養細胞にラベルをすることで検討を行った。相対的にわずかな膜電位依存的蛍光変化が観測できたが、顕著な変化ではなかったため実験条件の改善をする余地がある。さらにこの状態から引き抜きパッチ(インサイドアウトパッチ)を行い蛍光変化を検出するPatch clamp fluorometryにも挑戦したが、現状では蛍光変化を検出するまでに至っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度に異動があり、本年度において新たな測定システムの立ち上げがあり、測定系の確立を第一に研究を遂行している。蛍光カメラを装備したパッチクランプ測定の装置の立ち上げは終了し、今後条件最適化をしていく段階である。 研究実施状況はやや遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
蛍光変化解析:本年度に立ち上げた電流―蛍光同時リアルタイム計測システムを用いて、細胞内構造変化を非天然蛍光アミノ酸Anapを導入して計測する系の動作確認を行い、最適化を実施する。そののちに、細胞内ドメインに導入したAnapと、別ドメインに付加したEGFPでドメイン間および、細胞膜に局在させた蛍光ラベル脂質との間でのFRETを解析することで、距離変動を評価し、どのような構造変化が起きているのかを検討する。 Patch Clamp Fluorometry:引き続き、インサイドアウトパッチを使用した系での計測ができるように条件を最適化していく。
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Causes of Carryover |
本年度はパッチクランプ法ベースの新たな蛍光―電流計測システムのセットアップを1から実施した。セットアップに時間を費やしたためサンプル作成や処理に使用する高価な試薬(脂質・遺伝子操作)・消耗品の消費が低水準であったため残額が発生した。次年度においては条件検討にサンプル作成・処理に使用する試薬購入のために残額を充当する予定である。
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Research Products
(5 results)