2020 Fiscal Year Research-status Report
植物におけるリボソームストレスの感知とその情報伝達機構の解析
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19K06714
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
堀口 吾朗 立教大学, 理学部, 教授 (70342847)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古賀 皓之 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (30783865)
前川 修吾 立教大学, 理学部, 助教 (80711209)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | リボソーム / リボソームストレス応答 / ユビキチンリガーゼ / シロイヌナズナ / NAC型転写因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
真核生物はリボソーム生合成異常を監視しそれに対処するためのリボソームストレス応答機構を備えている。我々はシロイヌナズナをモデルに植物のリボソームストレス応答に関わる因子を同定している。RINGタンパク質の一種であるSZK2およびリボソームタンパク質のRPL12の下流にSZK1をはじめとした4種のNAC型転写因子を位置付けている。本研究では、「異常型リボソームタンパク質の存在下では、RPL12によってSZK2が活性化され、下流のNAC型転写因子を活性化することでリボソームストレス応答が誘導される」という仮説を立て、その検証を進めている。リボソームストレスの形態的アウトプットとしては、as2 rpl4dで観察される葉の向軸化強度を利用している。 本年度はSZK2の機能解析および相互作用因子の探索を行った。まず、SZK2が直接RPL12Bをユビキチン化して不安定化することをin vitroの系で見出した。また、as2 rpl4d szk2にp35S::GFP-SZK2を導入した相補系統を利用し、抗GFP抗体を用いて回収した免疫沈降物をMS解析に共した。その結果、約30種類の相互作用因子候補を見出した。 上記に加え、as2 rpl4dおよびas2 rpl4d szk2のサプレッサー変異株の変異部位の同定を進めた。その結果、as2 rpl4d szk2のサプレッサー系統からヒストンデメチラーゼ(JMJ)遺伝子、リボソーム生合成因子APUM23に対する変異を見出した。また、このJMJと相互作用することが知られているNAC型転写因子遺伝子のT-DNA挿入系統をas2 rpl4dと交配した3重変異株では葉の向軸化が促進された。従って、今回見出されたJMJおよびNAC遺伝子は、リボソームストレスの負の制御因子である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SZK2がユビキチンリガーゼとしてRPL12Bを不安定化することが証明でき、リボソームストレス応答の重要な制御点を示すことができた。しかし、SZK2もRPL12Bもリボソームストレス応答の正の制御因子であるため、RPL12Bの分解の意義が不明である。この点は、 MS解析によりSZK2の相互作用候補因子が多数見出されたことから、手がかりが得られると期待できる。 as2 rpl4d やas2 rpl4d szk2のサプレッサーからは、順調に変異部位が同定されており、この解析を進めていくことでリボソームストレス応答に関わる因子群の概要をある程度掴めると期待される。とりわけ、ヒストン修飾関連因子の変異が目立っており、これはSZK1をはじめとしたNAC型転写因子遺伝子の活性化が SZK2より下流の制御過程として重要である可能性が強まった。 さらに、APUM23変異がas2 rpl4d szk2のサプレッサーとして同定できた。apum23はas2のエンハンサー変異であることがすでに知られている。本研究ではszk2-1というアミノ酸置換型の変異を実験に用いているが、これがnull変異株でなければ変異型szk2でもapum23によるリボソームストレス応答を十分伝えることができる可能性、あるいは、SZK2非依存的なリボソームストレス応答経路の存在が示唆される。
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Strategy for Future Research Activity |
SZK2はリボソームストレス応答の正の制御因子であることから、その基質はストレス応答の負の制御因子であると期待される。MS解析により見出したSZK2の相互作用候補因子はイースト2ハイブリッド法、CRISPR/Cas9法による変異導入などを通じてそれらのリボソームストレス応答への関与を明らかにしていく。一方、as2 rpl4d, as2 rpl4d szk2のサプレッサー変異株のリシークエンスを令和3年度も10系統行う予定である。すでにシークエンス済みの系統と合わせ、原因遺伝子の特定を進めることで、リボソームストレス応答に関わる様々なプロセスとその制御因子が見出されると期待される。 本年度の実験から、as2 rpl4d szk2 apum23はリボソームストレス応答を行うことができる結果が得られた。現在szk2アリルとして11種類得ているため、その中からnull変異株と考えられるものを利用し、apum23のリボソームストレス応答誘導能を検証することで、新規リボソームストレス応答経路の有無も検証したい。 また、令和3年度は研究計画の最終年度であるため、SZK2やSZK1に関する論文の作成、投稿を行う。
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Causes of Carryover |
令和2年度の緊急事態宣言に伴う対応のため、分担者の前川が行うSZK2の機能解析の一部を保留せざるを得なかった。令和3年度は、コロナ感染状況を見ながら、できるだけ速やかにこれらの実験を実施する。
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Research Products
(3 results)