2021 Fiscal Year Annual Research Report
Analyses on the reproductive isolation machanism(s) in Sargassum horneri
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19K06807
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
上井 進也 神戸大学, 内海域環境教育研究センター, 教授 (00437500)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 季節性集団 / SNP / 日本海 / 瀬戸内海 / アカモク / シダモク |
Outline of Annual Research Achievements |
コロナ禍で計画的な野外調査を実施するできなかったため、最終年度については遺伝的解析を中心に研究を進めた。2020年に発表したようにSSRで季節集団間の遺伝的分化を確認できたことを受け(Homma et al. 2020 MEPS, DOI 10.3354/meps13332)、SNPsにより同様の結果が得られるか解析を実施した。Homma et al. (2020)で用いたサンプル(冬5、春3個体)に加え、新潟県沿岸(冬15、春9個体)、および兵庫県日本海沿岸の香美町(6個体)から採集を行い、さらに瀬戸内海の13サンプル(秋アカモク2、春アカモク6、シダモク5個体)を加えて、遺伝的関係を解析した。SNPsの探索は、外部委託によるGRAS-Diにより得られた配列データについて、Stacksのdenovo_map.plを用いて行なった。リード数の少なかった3サンプルを除き、共有率50%でフィルタリングを行った上で遺伝子座ごとに最初の1SNPを抽出し、得られた1762SNPsに基づきSTRUCTURE解析を実施した。結果として、新潟の冬成熟集団と春成熟集団は、遺伝的に区別されること、兵庫県香美町と新潟の春集団とは、同じ遺伝的グループに所属することがわかった。瀬戸内海の3集団は単一のグループとしてまとまったが、この結果は、瀬戸内海のサンプルが少なさが原因である可能性が高い。 本研究によって、新潟県沿岸の季節性集団の間に、物理的距離と関係なく遺伝的分化が生じていること、二つの季節性集団が実験室内では交配可能で、すくなくとも雑種第二代までは稔性のある子孫を残すことが可能であることを確認することができ、季節性の違いが野外で隔離機構として働いていることを示唆することができた。また、最終年度に実施した解析の結果から、季節性集団の分化はそれぞれの地域で生じた可能性が高いことが示唆された。
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