2021 Fiscal Year Research-status Report
ゲノム情報で解き明かすジュズカケハゼ種群の多様性と進化プロセス
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19K06831
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Research Institution | Fisheries Research and Education Agency |
Principal Investigator |
千葉 悟 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産資源研究所(釧路), 主任研究員 (80599431)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田畑 諒一 滋賀県立琵琶湖博物館, 研究部, 学芸員 (00793308)
渋川 浩一 ふじのくに地球環境史ミュージアム, 学芸課, 教授 (30435739)
向井 貴彦 岐阜大学, 地域科学部, 教授 (80377697)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | MIG-Seq / NovaSeq / 分類 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ジュズカケハゼ種群の分類と進化的重要単位を明らかにして今後の保全措置に役立てること、種群内で生じているミトコンドリアゲノムの遺伝子浸透の適応的意義と、ミトゲノムと核のミトコンドリア関連遺伝子の不和合を解消するための共進化プロセスを明らかにすることを目的とする。 今年度もCOVID19の影響によってフィールドから新規に高品質なサンプルを得ることは出来なかったが、研究協力者が以前に収集したサンプルの提供を受けて、貴重な国内外のサンプルを入手することが出来た。 ジュズカケハゼ種群の分類と進化的重要単位を明らかにして今後の保全措置に役立てることを目的として、既存サンプルのMIG-Seq法による縮約ゲノム解析を進めた。使用を予定していた小型の次世代シーケンサーであるMiSeqが使用できなくなったため、昨年度ライブラリ作製方法を大型の次世代シーケンサーであるNovaSeqで解析ができるようプロトコルを改変した。今年度はこの方法で作成したMIG-Seqライブラリの民間受託サービスを利用したシーケンシング解析を実施した。その結果、従来の形態情報や断片的な遺伝情報では矛盾する情報の存在から明らかにできなかった種群各種の輪郭が、ゲノムワイドな情報を利用することによってリーズナブルに明らかにすることができた。作業仮説のとおり、本種群ではミトコンドリアゲノムの異種間浸透が生じた個体群が存在しており、これらの個体群を高密度なゲノムマーカーで解析することによって、ミトゲノムと核のミトコンドリア関連遺伝子の不和合を解消するための共進化プロセスを明らかにできる可能性があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
ミトゲノムと核のミトコンドリア関連遺伝子の不和合を解消するための共進化プロセスの解明には、高品質なゲノムDNAサンプルを必要とするが、COVID19の影響からフィールド調査を実施出来ず、サンプルを得ることが出来なかったため、既存サンプルによる分類と進化的重要単位の解明についでのみ進捗している状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度も高品質なゲノムDNAサンプルの入手可能性を検討するが、入手出来ない場合には既存サンプルの中から状態の良いサンプルを選抜し、比較的DNAの劣化にも耐性があるGRAS-Di解析等による高密度マーカーの解析を代替手段として選択する。
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Causes of Carryover |
フィールド調査を実施出来なかったことで旅費の執行がなかったこと,それに伴いフィールド調査で得られる予定だったサンプルを解析するための外注分析費を執行できなかったことに起因する.
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