2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K06869
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
坂上 和弘 独立行政法人国立科学博物館, 人類研究部, グループ長 (70333789)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 正二 一般財団法人Ai情報センター(研究グループ), 研究グループ, その他 (40302567)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 自然人類学 / ミイラ / 即身仏 / 屍蝋化 / 保全 |
Outline of Annual Research Achievements |
本調査の結果、現在日本に所在し、申請者が実見できたミイラ標本は64個体であった。内訳としては、即身仏が15個体、海外のミイラ標本が30個体、日本国内で発見されたミイラ標本(屍蝋化遺体を含む)が19個体であった。これらのミイラ標本のうち、許諾を得られた28個体においてはCT撮影を行い、現状におけるデジタル保存と体内情報の調査も行った。 今回調査したミイラ標本のうち、大学や博物館などの研究機関で保管されている標本は、温湿度の管理が比較的適切に行われており、保存状況は良好であった。ただ、空調施設が完備される以前に入手された標本の場合には、カツオブシムシによる蚕食痕が認められる標本もあった。日本で保管されている海外のミイラに関しては、出土状況が不明である事例が大部分であり、同時に入手経緯も不明瞭であったり誤っていたりする場合も少なくない。即身仏はかなり良好に保全されている事例も一部あるが、天災などの影響や温湿度管理が適切に行われていない事例が多い。また、1960年代に修復に用いられた材料の経年劣化が生じており、カビの発生も認められた。 今後は、日本で発見された屍蝋化後にミイラ標本となった標本の経時変化に関する保全調査や屍蝋化の形成条件の調査などが必要であろう。また、日本に保管されている海外のミイラ標本に関しては、年代測定やDNA分析などの方法を用い、標本の再評価を行うことが必要と考えられる。
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