2019 Fiscal Year Research-status Report
Applying temporal and spatial population genetics modelling for the origins of modern Japanese
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19K06871
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中込 滋樹 金沢大学, 国際文化資源学研究センター, 客員研究員 (40625208)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
覚張 隆史 金沢大学, 国際文化資源学研究センター, 助教 (70749530)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 現代日本人 / 縄文人 / 弥生人 / 自然選択 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、現代及び古代の人類集団のゲノムデータを用いて、現代日本人の進化史を明らかにすることを目指している。初年度では、『現代日本人の進化史』を理解するための時空間的集団遺伝学モデリング方法を開発した。適応進化を明らかにする上で重要な要因の1つとして、自然選択が始まった時期がある。しかし、この時期を推定する上で、2つの異なる進化学的メカニズムを考慮する必要がある。その1つが、集団中に新しく出現した遺伝的変異(アレル)に対する自然選択である。その一方で、既に集団中に存在していた中立的アレルが、環境の変化を境に有利となるケースがある。さらに、現代日本人は、縄文人と弥生人の2つの異なる祖先の混血によって誕生した集団である。本研究では、現代及び過去の集団ゲノムデータに基づき自然選択が始まった時期を推定する上で、それら2つのメカニズムを識別すると共に、現代日本人において同定された有利なアレルが、縄文人あるいは弥生人のどちらの系統に起源をもつかを検証する統計学的手法を開発した。例えば、自然選択が起こった時期を1万年前とし、その自然選択が縄文人の系統で起こった場合と弥生人の系統で起こった場合で、現代日本人において観察される遺伝的多様性のパターンは異なると考えられる。本方法では、その観察データの違いをもとに、どちらの系統に由来するかを推定する。そこで、シミュレーションデータを用いて、その精度を検証したところ、高い精度でその起源を識別できることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、現代日本人が縄文人と弥生人の混血によって誕生した集団であることに着目し、自然選択がどちらの系統に由来するかを検証するための統計学的手法を開発した。最近の研究から、現代日本人に限らず様々な人類集団が混血を繰り返しながら進化してきたことが報告されている。したがって、本研究において開発した方法は多様な集団へと適用可能であると考えられ、それにより混血と自然選択の複雑な相互作用が適応進化を促してきたプロセスを理解することができる。ここまでの成果は、国際学会(ポスター発表・Annual Meeting of the Society of Molecular Biology and Evolution 2019)及び国内学会(招待講演・第21回日本進化学会)において発表している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、現代及び古代の人類集団のゲノムデータを組みわせることで、初年度において開発した統計学的手法の精度を高めるとともに、現代日本人が成立する過程で受けた自然選択の起源及びその選択圧を推定する。
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Research Products
(4 results)