2019 Fiscal Year Research-status Report
新規雌性尿中生理活性物質の分離精製と中枢神経系内活性化部位の同定
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19K06943
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
阿久津 仁美 岩手医科大学, 医学部, 助教 (30398482)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加茂 政晴 岩手医科大学, 歯学部, 准教授 (40214564)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 鋤鼻器 / 脳 / 免疫染色 |
Outline of Annual Research Achievements |
雌性尿中生理活性物質を同定するためには,雄ラット鋤鼻器生スライスを用いたカルシウムイメージングバイオアッセイ系にて試験すると同時に,生理活性物質を暴露された個体の反応を示した鋤鼻感覚細胞の特定と脳における神経活動部位の特定も必要である。平成32年度(令和2年度)以降に予定されていた「同定したフェロモン分子の効果発現に関わる神経制御の解明」を支障なく実施するために,齧歯類の個体から鋤鼻器と脳を採材して,組織切片作製と免疫染色手法の確立を試みた。鋤鼻器は,吻部の頭蓋骨ごと採材して骨組織とともに切片にするため,脱灰処理をおこなった。これまでの研究で,雄ラット鋤鼻器生スライスを用いたバイオアッセイでは,雌ラット尿に反応を示す鋤鼻感覚細胞は,鋤鼻器の吻側-尾側方向では吻側に多く認められ,鋤鼻感覚上皮の表層-基底層方向では反応を示す細胞の特異的分布は認められていない。鋤鼻感覚上皮における感覚細胞の分布特性を探るため,鋤鼻器の凍結切片を作製して免疫染色を行った。使用した抗体は,成熟鋤鼻感覚細胞に発現するolfactory marker protein(OMP)と,成熟途中の未熟な細胞に発現するgrowth associated protein 43(Gap 43)である。マウスの鋤鼻器横断面では,感覚上皮の両端部にGap 43陽性細胞があり,それ以外の部位ではOMP陽性細胞が圧倒的多数であった。マウスの鋤鼻上皮における感覚細胞の分布傾向が明らかになったので,今後はラットでも同様の免疫染色を確立し,鋤鼻感覚細胞の成熟度合いを明確にする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
鋤鼻器と脳の組織作製には,時間と手間がかかった。脱灰処理では,硬いラットの骨を柔らかくするのに数ヶ月を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
膨大な量の雌ラット尿由来HPLC分画をこれまでのデータと照らし合わせて分類し,発情休止期尿と差異が認められた発情前期尿のHPLC分画を用いて,LC-MS分析を効率的に進めていく。LC-MS分析で得られた分画を用いて,雄ラット鋤鼻器生スライスバイオアッセイをおこなう。同時に雄ラット個体に暴露して2-3時間後に鋤鼻器と脳を採材し,OMP,Gap 43,c-Fos抗体を用いた免疫染色にて,鋤鼻感覚細胞と脳神経細胞の活性を可視化する。
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Causes of Carryover |
購入した試薬・物品が,定価よりも安価であった。研究の進捗がやや遅れたため,動物や試薬の購入が見送られたものもあった。 分析用のカラム・試薬や,バイオアッセイ用の動物,免疫組織化学用の動物や試薬の購入に充てる。
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