2021 Fiscal Year Annual Research Report
Functional analyses of calcium-related ion channels in pulmonary hypertension
Project/Area Number |
19K07125
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
山村 寿男 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 教授 (80398362)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 肺高血圧症 / イオンチャネル / カルシウム / カリウム / 肺動脈 / 平滑筋 / リモデリング / 膜電位 |
Outline of Annual Research Achievements |
肺高血圧症の中で最も典型的な臨床像を示す肺動脈性肺高血圧症は、循環器系・呼吸器系の難病である。肺動脈性肺高血圧症の主な原因は、肺血管の攣縮(過収縮)やリモデリング(肥厚、線維化)である。肺動脈性肺高血圧症の5年生存率は選択的治療薬の開発により改善しているが、依然として根治治療には至っていない。そのため、新たな作用メカニズムを有する選択的な肺動脈性肺高血圧症治療薬の開発が期待されている。本研究課題では、肺動脈平滑筋の細胞内カルシウム濃度を膜電位により間接的に制御する2ポアドメイン型カリウムチャネルに注目し、発現機能解析を行った。発現解析の結果、正常ヒト肺動脈平滑筋細胞と比較して、特発性肺動脈性肺高血圧症患者由来肺動脈平滑筋細胞では、KCNK1(TWIK1)チャネルとKCNK2(TREK1)チャネルの発現量が増加していた。一方、KCNK3(TASK1)チャネルとKCNK6(TWIK2)チャネルの発現量は減少していた。正常ヒトおよび特発性肺動脈性肺高血圧症患者由来の肺動脈平滑筋細胞において、電位非依存性のカリウム電流が観察された。一部の特発性肺動脈性肺高血圧症患者由来肺動脈平滑筋細胞においては、+20 mVよりも脱分極側の電位で外向き整流性電流や、-80 mVよりも過分極側の電位で内向き整流性電流が認められた。増殖試験の結果、特発性肺動脈性肺高血圧症患者由来肺動脈平滑筋細胞の過剰な増殖が、2ポアドメイン型カリウムチャネル阻害薬であるキニーネによって抑制された。以上より、肺動脈性肺高血圧症患者由来肺動脈平滑筋細胞で発現増加したKCNK1(TWIK1)チャネルとKCNK2(TREK1)チャネルが、肺動脈性肺高血圧症の病態形成機構に関与していることが示唆された。本研究成果は、肺動脈性肺高血圧症の病態機構の解明や標的創薬(イオンチャネル創薬)につながる有益な知見である。
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Research Products
(32 results)