2021 Fiscal Year Annual Research Report
神経変性疾患における毒性タンパク質の細胞間伝播とグリアリンパ系の関与
Project/Area Number |
19K07128
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
三澤 日出巳 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 教授 (80219617)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 / 凝集体 / 伝播 / グリアリンパ系 |
Outline of Annual Research Achievements |
SOD1G93Aマウスの主病変部位である脊髄では、疾患特異的異常タンパク質であるミスフォールド型SOD1およびSOD1オリゴマーの病態進行に伴った蓄積増加が観察された。SOD1G93AマウスのAQP4を欠損すると、病変部位における異常タンパク質の蓄積は亢進した。次に、AQP4欠損マウスを用いて、疾患特異的異常タンパク質であるSOD1オリゴマーがグリアリンパ系を介して排泄されるかを調べた。脊髄内に投与した微量のSOD1オリゴマーは、投与後、時間経過に従って徐々に排泄され、その排泄能はAQP4欠損により低下することがわかった。特に、SOD1オリゴマー投与3時間後における差は顕著で、AQP4欠損による排泄能は61%に低下した。また、SOD1G93AマウスではWTマウスと比べて外来タンパク質の排泄が有意に遅延していることが示された。 さらに、上記実験の過程で、外来タンパク質の排泄過程にグリアリンパ系以外の経路が関与してくる可能性が浮上した。OVAを取り込んでいる細胞種を免疫組織染色により詳細に検討したところ、血管周囲マクロファージ (PVM) であることが判明した。また、WTに比べてALSマウスではOVAを取り込むPVMの数が増加していることがわかった。 PVMとグリアリンパ系との関係性を調べるため、PVM枯渇によるタンパク質排泄能の変化を調べた。PVMによるOVA取り込みは、大槽内投与法においても脊髄内投与法においても、比較的長時間経過してから観察される現象であったため、OVA投与後3時間と6時間の時間経過でタンパク質排泄能を検討した。外来タンパク質OVAを脊髄内投与したとき、3時間後では排泄能に違いが見られなかったが、6時間後では、枯渇群と非枯渇群でOVAの排泄能に違いが見られ、PVM枯渇により排泄能が低下することがわかった。
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