2020 Fiscal Year Research-status Report
次世代シークエンサーを用いた生薬のDNA鑑定法の構築
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19K07151
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
中西 宏明 順天堂大学, 医学部, 准教授 (90392274)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 生薬 / 基原 / 次世代シーケンサー / ミトコンドリアDNA |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度では、ミトコンドリアDNA量を基にした混合比を用いるため、まず16SrRNAを指標とした定量法を検討し、リアルタイムPCRを用いた定量法を構築した。 次に、鹿茸の粉末に類似品が混合した場合を想定して、アカシカを基原とする鹿茸とトナカイを基原とする鹿茸(類似品)を任意の割合で混合し、ミトコンドリアDNAの12SrRNA、16SrRNAおよびCOI領域をPCR増幅させ、次世代シークエンサー(MiSeq)で分析した。解析はCLC Genomics Workbench 20を用い、エクセルにより同じ変異パターンを持つリードをまとめ、BLAST解析で各リードの相同性解析を行った。検討の結果、12SrRNAとCOIでは混合比とリードの割合に若干のずれが生じたが、総じて5%までのマイナー成分(類似品)の基原同定が可能であった。 さらに、鹿茸だけでなく、五霊脂(ミケモモンガ由来とモルモット由来)にも適用してみたところ、COI領域で増幅産物が得られず分析困難であったが、12SrRNAおよび16SrRNA領域ではマイナー成分(モルモット由来五霊脂)の基原同定が可能であった。また、刻みの状態で市販されていた蝉退についても、専用に設計されたプライマー(12SrRNA領域)を用いることで、どのような種の蝉で構成されているかを分析することができた。 市販の漢方製剤2種についても分析を行い、添付文書に記載の成分と比較した。その結果、添付文章に含まれるすべての動物生薬を検出できたわけではなく、解析領域間で検出される動物種の数に多少の違いもみられたが、おおよその構成生薬を推定することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
次世代シークエンサー(MiSeq)による解析方法を確立でき、鹿茸、五霊脂および蝉退といったいろいろな種類の生薬での分析データを出すことができた。また、混合比をミトコンドリアDNA量を基準にしたため、昨年度のデータよりも信憑性を増すことができた。市販の漢方製剤におけるデータも収集でき、本法の有効性を増すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
MiSeqを用いた分析法は2020年度で終了し、2021年度は、もう一つの課題であるMinION(小型の次世代シーケンサー)を用いた分析法を検討する。2020年度までに用いたサンプル・抽出DNAをそのまま用いることができるため、分析法を確立できたら直ちにMinIONにおけるデータを出していく予定である。
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