2021 Fiscal Year Annual Research Report
次世代シークエンサーを用いた生薬のDNA鑑定法の構築
Project/Area Number |
19K07151
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
中西 宏明 順天堂大学, 医学部, 准教授 (90392274)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 生薬 / 基原 / 次世代シーケンサー / ミトコンドリアDNA |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度である2021年度は、小型次世代シークエンサーである「MinION」(Oxford Nanopore Technologies社)が動物生薬の基原動物推定に適用できるかを検討した。また、基原動物が異なる類似品生薬との混合物についても分析を試みた。 試料は、鹿茸(アカシカ由来)、蛇胆(ニシキヘビ由来)、牛黄、熊胆、麝香および類似品として鹿茸(トナカイ由来)、蛇胆(ミズオオトカゲ由来)を用いた。また、基原種の異なる2種類の蝉退についても検討した。各々からDNAを抽出後、鹿茸についてはアカシカ由来のものとトナカイ由来のものをミトコンドリアDNAのコピー数を基準に任意の割合で混合した。ミトコンドリアDNAのCOI領域をPCR増幅させ、MinIONでシークエンスし、得られたコンセンサス配列をBLASTにて相同性解析した。 MinIONのベースコールには、FastモードとHigh accuracyモードがあるが、Fastモードでもすべての生薬で基原種の推定は可能であった。蝉退では由来の違い(フトミミズとツリミミズ、ミンミンゼミとアブラゼミ)を判別できた。アカシカ由来とトナカイ由来の鹿茸の混合サンプルではHigh accuracyモードを用いる必要があるものの、アカシカの塩基配列でトナカイのDNAもアライメント可能で、19:1の混合比までであれば、マイナー成分を検出・同定できた。一方、ミズオオトカゲ由来の蛇胆は、ニシキヘビの塩基配列ではアライメントできず、これらの混合サンプルの場合、基原種の同時検出は困難であると考えられた。Fastモードは解析時間が数時間で済み、基原種推定に有効であることが示唆されたが、High accuracyモードはMinKNOWでの解析に膨大な時間かかるため、混合サンプルの解析は従来の次世代シークエンサーを用いた方が良いと思われた。
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