2019 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of possible mechanisms of lymphatic metastasis noted by a novel lymphangiogenic factor
Project/Area Number |
19K07171
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
八木 秀樹 国際医療福祉大学, 薬学部, 教授 (40250740)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | リンパ節転移 / 乳がん細胞株 / リンパ管内皮細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の癌治療法の進歩によって、遠隔転移は患者の予後を大きく左右する重要な因子である。そこで、乳癌リンパ節転移モデルを用いて、その転移機構を明らかにし、新規転移抑制薬の開発を目指すことを本研究の目的とする。申請者は癌細胞を同所性移植し、自然にリンパ節転移が生じる系の作製に着手し、同所性に移植されたヒト乳癌細胞株において、反対側のリンパ節に高転移する細胞株の樹立に成功した。このリンパ節高転移性乳癌細胞株は、既知のリンパ管新生因子であるVEGF-C, -Dの産生を認めず、新たなリンパ管新生因子の産生が示唆された。そこで、本研究では新規リンパ管新生因子の探索をすると共に、癌細胞がなぜリンパ管新生を誘導するのかの問いに答えるべく、新規リンパ管新生因子産生機序にもアプローチをし、転移メカニズムを解明、新たな治療標的分子の探索につなげる。このリンパ節高転移株MDA-MB-231-LN(MDA-LN)の同所性移植腫瘍内にリンパ管が多数存在することから、MDA-LN細胞はリンパ管新生因子を産生しているものと考えた。一方、このMDA-LN細胞から既知のリンパ管新生因子であるVEGF-C, -Dの産生を認めなかったことから、新たなリンパ管新生因子の産生が示唆された。手始めに、リンパ節高転移性細胞株MDA-LN細胞の培養上清を集め、リンパ管内皮細胞株SVEC4-10のchemotaxis assayやwound healing assayを行い、リンパ管内皮由来細胞の遊走能に関する影響を調べた。親株と比較してリンパ節高転移性細胞株MDA-LN細胞の培養上清を添加した群において有意に遊走能が増加していた。よって、リンパ節高転移性細胞株MDA-LN細胞は何らかのリンパ管内皮細胞に対する走化因子を分泌していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度はもう一つの科研費の研究も同時並行、検討していたので、当初の予定よりはやや遅れてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度において、MDA-LN細胞の培養上清中にリンパ管内皮細胞の遊走活性を示す因子の存在を明らかにできた。そこで今年度は、ゲル濾過やイオン交換クロマトクロマトグラフィーによりその培養上清を分画し、リンパ管内皮細胞株SVEC4-10のtube formation assayやwound healing assayにてそのリンパ管新生活性を検出する。 一方、MDA-LN細胞とその親株MDA-MB-231-P(MDA-P)の性状比較も行う。特に癌幹細胞性やepithelial-mesenchymal transition (EMT) 関連分子の発現比較や幹細胞nicheや移出関連分子の発現にも着目する。癌幹細胞関連のCD44R1(v8-v10)や幹細胞で発現増強が認められるシスチントランスポーターであるxCTの発現や幹細胞niche停留に必要なCXCR4発現などをフローサイトメトリーにて解析する。合わせて申請者が作製した抗sphingosine 1-phosphate receptor-1 (S1PR1) 抗体を用いて、その発現を検討する。S1PR1はリンパ球がリンパ管に移出するのに必須の分子であり、この受容体でリンパ管内の高濃度S1Pに惹かれ移出する。よってS1PR1発現が上昇していれば、原発巣からリンパ管内に移出しやすいと考えられる。 上記計画を遂行することにより、腫瘍由来の新規リンパ管新生因子は何か、その因子を産生する腫瘍細胞の特徴や産生機構はどのようなものかを明らかにしたい。
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Causes of Carryover |
今年度、リンパ節高転移乳癌細胞MDA-MB-21LNの培養上清のゲルろ過やイオン交換カラムクロマトグラフィーにて分画ができなかったため、次年度繰越金が生じた。 次年度には培養上清のゲルろ過やイオン交換カラムクロマトグラフィーによる分画を行う予定なので、それに使用する陰イオン交換カラムやグルろ過カラムなどを購入する予定である。
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Research Products
(8 results)