2021 Fiscal Year Research-status Report
カルシウム依存性に起こる細胞内ホスファチジルセリンの分布変化
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19K07265
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
辻 琢磨 順天堂大学, 大学院医学研究科, 特任助教 (40725628)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ホスファチジルセリン / ホスファチジルイノシトール-(4,5)-二リン酸 / 電子顕微鏡 / 凍結割断レプリカ法 / 膜脂質 |
Outline of Annual Research Achievements |
ホスファチジルセリン (PtdSer) は生体膜脂質二重層を構成する主要な負電荷リン脂質である。私達は以前、PtdSer分布を詳細に解析する方法[急速凍結・凍結割断レプリカ標識電子顕微鏡(QF-FRL)法]を開発した。PtdSerに結合する蛍光プローブを発現させる観察法では、出芽酵母の細胞内膜系や哺乳類細胞の小胞体にシグナルが得られていなかったが、QF-FRL法を用いることでこれらのオルガネラにおけるPtdSer分布を明らかにすることに成功した。 QF-FRL法と蛍光プローブ発現法の結果の乖離は、蛍光プローブの膜への結合が内在性のPtdSer結合タンパク質によって阻害されたために生じたのではないかと推測された。一方でQF-FRL法では、SDS/Proteinase K処理によりプローブ結合の障害となりうる内在性膜脂質結合タンパク質を取り除くことができるため膜脂質分布解析に有用であるが、膜脂質動態をライブ解析できないなどの弱点もある。そのため、QF-FRL法と蛍光プローブ法の両者の性質を理解し、相補的な解析を行うことが重要になる。そこで、内在性タンパク質が蛍光プローブ法の結果に影響を及ぼす可能性が実際にあるのかどうかを検証するために、出芽酵母細胞膜のホスファチジルイノシトール-(4,5)-二リン酸[PtdIns(4,5)P2]の分布をQF-FRL法と蛍光プローブ法で比較検討した。その結果PtdIns(4,5)P2結合タンパク質が密集する膜ドメインの存在が両者の結果の乖離をもたらす原因のひとつであることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
QF-FRL法と蛍光プローブ法の違いについて検討を進めることができた。また新規に合成されたホスファチジルコリンをQF-FRL法で解析することに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
新規に合成されたホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトールの可視化法確立を目指す。
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Causes of Carryover |
新規に合成されたホスファチジルコリンをQF-FRL法で解析することに成功した。同様に新規に合成されたホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトールの可視化法確立を検討するため。
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